私は長年、自家焙煎のコーヒー専門店ではたらいていました。数ある豆の中でも人気のマンデリンは一度は飲んでもらいたいコーヒー豆。
マンデリンを飲む前にどのような産地で栽培され、どのような特徴があるのか詳しく調べてみるのも楽しみのひとつだといえる。
マンデリンのバックボーンを知ることで色々なことを想像しながら飲む一杯はこれまでとは違い、別格だと感じていただけるはずだ。
少しでも分からないことがある方は、ぜひこの機会にマンデリンについて理解を深めておこう。
マンデリンの特徴:
マンデリンはインドネシアのスマトラ島で栽培されているアラビカ種に分類されるコーヒー豆の銘柄で、深いコクと特有の香りが特徴だ。
マンデリンは比較的標高の高い土地で育つ為、インドネシアは栽培には適さない気候の国であることと、小さな農園が多く、仲買人がそれを集めて精製しているため、グレードがなかなか揃わず乾燥ムラが多いのが欠点ともいえるが、豊かなコクと独特の香味をもつマンデリンの人気は非常に高い。
マンデリンの生産国:
マンデリンの生産国は主に世界屈指のコーヒー産出国インドネシアのスマトラ島で栽培されている。
インドネシアは赤道直下の島も多く、コーヒーに適した気候と土壌を持っているが、現在のコーヒー生産量は世界第4位でコーヒー豆の9割がロブスタ種、アラビカ種は約1割ほど。
マンデリンはアラビカ種に分類されるが、その中でも全体の数%しか栽培されていないことから希少価値が高くなっている。
そもそもアラビカ種とは数ある品種の中でストレートで飲める唯一の品種と言われるほど風味、香りに優れている種だが、乾燥、霜害、病虫害が弱点とされている。その中でもコーヒー豆にとってとてもおそろしい〝サビ病〟には特に弱い。
このサビ病に耐えたアラビカ種を元にスマトラ島の現地民族が栽培し、その名前にちなんで名づけられたのがマンデリンとなったのだ。
マンデリンの品質評価:格付け:
さて、マンデリンといってもグレード(等級)があることはご存知だろうか。
マンデリンをはじめ、コーヒー豆は産地ごとにグレード分けされておりコーヒー生産国には品質を評価する独自の格付け法と評価基準がある。
しかし、品質評価システムがすべてのコーヒー生産国に共通の世界基準と呼べるようなものであれば(仕入れる側にとっても)有り難いことだが…
グレードの基準は、生産国や生産地域に加えて栽培地の標高差やスクリーン(生豆のサイズ)など、評価する生産国によってマチマチなのだ。
マンデリンのグレード(等級):
マンデリンは生産国インドネシアにおけるコーヒーの格付け基準によってグレード(等級)が決定されており、欠点豆が少ないほど高いグレードとなる。
欠点豆とは、コーヒーの味に悪い影響を与えてしまう未成熟豆、虫食い豆、カビ豆、死豆などが該当するが、マンデリンはひとつひとつ手摘みで収穫され、出荷前にハンドピックによって欠点豆や小石、ガラス片といった異物を取り除く作業が行われている。
実際には300gの中に含まれる欠点豆の数が0〜3個で最高級であるG1グレードに格付けされ欠点豆の数が多くなるにつれ、G2・G3・G4・G5と5段階のグレードにわかれ欠点豆の含有量を表している。
主に自家焙煎店が扱うのは定番の一番品質の良い〝マンデリンG1〟が多いようだが、良質グレードはもう一つある。
1400m〜1900mの高原地帯で栽培された゛マンデリンSG〟(スーパーグレード)だ。
コーヒーは低産地のものよりは高地産のものが良質ど標高が高ければ気温は低くくなり、その分だけゆっくり時間をかけて実が熟し豆となる。
完熟した豆は伸びがよく焙煎もしやすく、産出地域と農園が特定できることから〝SG〟という等級が与えられ、マンデリンの中でも高い評価を得ている。
マンデリンの種類:
一口にマンデリンといってもいくつかの種類が存在する。ここではインドネシア マンデリンを主に解説しておこう。
マンデリンG1:
濃厚な風味と深いコクがある苦味。
マンデリンG1スペシャル:
モカと並ぶ日本人の好む味わいが特徴。
大粒の豆で豊かなコクと独特の香味を持っている。酸味と苦味のバランスが良く雑味が少ない。
ゴールデンマンデリン:
スペシャリティコーヒーとしてのブランド名であり、バランスのとれた良い味。控えめの苦味で酸味も引き立つ。
ガヨマウンテン:
スマトラ島最北の地で生産されているガヨマウンテン。
精製度合いが高く良質で大粒の豆で、唯一〝水洗式〟で精製されている。品格のあるふくよかな味が魅力。
マンデリンの焙煎方法と焙煎度:
続いてマンデリンの焙煎方法と焙煎度を深煎り・浅煎りの2種類に分けて解説していこうと思う。
焙煎の違いによる味わいの差を知りたい方は以下から確認しておこう。
深煎り:
日本では、シティローストやフレンチローストといった深煎りにして飲むのが好まれている。
強い苦みと深いコクといった複雑な魅力を持つマンデリンの飲みごたえを最大限に引き出せる焙煎度合いだといえる。
浅煎り:
マンデリンは、ミディアムローストやハイローストといった少し浅煎りにするのもおすすめ。
苦みやコクは抑えられ、果実を思わせる酸味を感じることができる。
深煎りでも浅煎りでも独特さを失わないマンデリンは流石だ。
マンデリンを美味しくする飲み方:
これまでの解説でマンデリンについて理解が深まってきたと思うが、実際に飲むにあたりどのような飲み方があるのかを紹介しておこう。
せっかくなら美味しく飲みたい…と考えている方はぜひ目を通しておこう。
〝マンデリンらしさ〟をとことん味わうのであればそのままストレートはもちろんだが、氷を入れたり、ミルクでわってもコクや苦みなどの味わいを失わないことからアイスコーヒーやカフェオレなどアレンジにもおすすめできる。
ブレンドコーヒーとして用いられることも多いが、これもマンデリンの特徴を活かした美味しくする飲みかたの一つだ。
さぁ、マンデリンを飲んでみよう!:
今や高級豆として世界中で飲まれているマンデリン。
あなた好みの焙煎方法や飲み方などを見つけて、これからのコーヒーライフに役立てみてはいかがだろうか。