コーヒーの品種が驚くほどわかる!原種や在来種などを徹底解説!

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『コーヒーってよく飲むけど、そういえば品種ってよくわからない…』という方を対象に、今回はコーヒーの基礎中の基礎である品種が一から十までわかる解説記事を作成しました。

特に苦味や酸味といった味の特徴は、品種の違いも少なからず関係しています。これからのコーヒーライフを楽しむ上でも重要な知識になるので、この機会にしっかりと覚えてもらえればなと思います。

 

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コーヒーの品種とは:

まずは、コーヒーの品種とは?という方向けに基礎知識から解説を始めていきたいと思います。

基礎は大体理解している…という方も再確認しておきましょう。

コーヒーの木:

コーヒーの木はアカネ科コフィア属の熱帯植物で、その種類は40種類以上と言われています。多年生の高木で野生のものはなんと6〜8mも伸びます。最近では、コーヒの木をオシャレな観葉として育てている人も多いのではないでしょうか。

コーヒー豆を目的に栽培されているものは栽培種とも呼ばれ、2mくらいに刈り込まれ管理されています。

栽培種の数:

コーヒーの種は、以下の3つに分けられていて「三原種」とも呼ばれています。

  • アラビカ種
  • ロブスタ種
  • リベリカ種

コーヒー種をお米で例えると、タイ米と日本米というのは種の違いになります。品種とは、コシヒカリとササニシキというのは銘柄の違いということです。

この中でも市場に流通しているのは、アラビカ種とロブスタ種の2種類と思ってもらって大丈夫です。リベリカ種はそもそも日本には流通していませんからね。

どちらの品種にもメリットとデメリットがあり使う目的と用途が違うので以下から確認していきましょう。

市場に流通するのはアラビカ種とロブスタ種:

IOC(国際コーヒー機関)の統計によると、コーヒー生産国の自国内消費分を除けば世界に流通しているコーヒーの65%がアラビカ種、35%がロブスタ種とされています。

アラビカ種は粒が細長く平べったいのが特徴。対するロブスタ種は丸くずんぐりしているのが特徴で、形状が全く違います。つまり、両者が混合されることはまずありません。

しかし、アラビカ種とロブスタ種の交配種や突然変異でできた種もあり、分類は複雑で多岐に渡ります。栽培種が異なれば同じコーヒー名であってふも味わいの異なるものになってしまいます。つまり、原種に近いアラビカ種もあれば限りなくロブスタ種に近いアラビカ種もあります。

このようにコーヒーの品種は、原種を基礎として品種改良または突然変異によって生まれた在来品種が存在し、さらにその在来品種を掛け合わせることで誕生した新品種の3つに分類されます。

以下からぞれぞれの種についての特徴をまとめたので確認していきましょう。

 

コーヒーの原種について:


ここからは、コーヒーの三原種の違いと特徴を詳しく説明していきたいと思います。

アラビカ種ロブスタ種リベリカ種
味・酸味良好な香りと酸味炒り麦に似た香りと酸味強い苦味
豆の形偏平、楕円形丸みを帯びるひし形
樹高5~6m5m前後10m
収穫量比較的多い多い少ない
栽培高度500~2000m500m以下200m以下
耐腐性弱い強い強い
温度適応性低温、高温ともに弱い高温に強い低温、高温ともに強い
雨量適応性多雨、少雨ともに弱い多雨に強い多雨、少雨ともに強い
収穫年数ほぼ3年以内3年5年
生産量65〜80%20〜35%微量

アラビカ種:

エチオピア原産のアラビカ種は主に高地で産出され、全世界で栽培されているコーヒのうち約65%を占めています。一般的に高地産のコーヒーほど良質とされ、気候が低地に比べて冷涼15〜25度)の為、コーヒーの実がゆっくりと時間をかけて熟す分、ストレートで飲める唯一の品種とも言われるほど風味、香りに優れていてレギュラーコーヒーに使われています。

ただ、欠点として乾燥や霜害、病虫害に弱くアラビカ種にとって最も恐ろしい病気〝サビ病〟にかからないために品種改良が盛んに行われ現在に至ります。

ロブスタ種:

ロブスタ種は本来、カネフォーラ種の一変種ですがロブスタ種の名が一般的に定着しています。

アフリカ・コンゴ原産のロブスタ種は主に熱帯の低地で産出され、全世界で栽培されているコーヒのうち約35%の生産量です。ロブスタ種は高温多湿地帯で生産され、アラビカ種に比べ強い耐病性をもつ〝耐サビ病種〟です。ロブ臭といわれる独特の香りと苦手があり、わずか2〜3割混じるだけでコーヒーの味全体を支配するほどストレートで飲むのはためらわれるほど強烈な個性があります。

主にインスタントコーヒー、リキッドコーヒー、缶コーヒー、アイスコーヒーなどに使われています。

リベリカ種:

西アフリカ・リベリア原産のリベリカ種は、底・高温・多湿・乾燥といった環境に順応していますが〝サビ病に弱く〟アラビカ種に比べると味が劣る為、品質も生産量も低く現在は西アフリカの一部の国が国内消費や研究に栽培していて日本には全く流通していません。

その為、市場に流通しているのはアラビカ種とロブスタ種の2種類ということになります。特にアラビカ種は品種改良が盛んに行われており、高い評価を得てプレミアム付きの高額取引がなされている3種の在来品種があります。

以下からご説明していきます。

アラビカ種の在来品種について:


ここからはアラビカ種の品種を説明していきたいと思います。

アラビカ種の在来品種の3種とは、

  • ティピカ
  • ブルボン
  • カトゥーラ

という品種で、熱帯各地に広まるにつれ突然変異や品種改良のための交配を繰り返し、わかれていきました。

では、以下から詳しく解説していくので確認していきましょう。

ティピカ:

アラビカ種の中では、原種に最も近い品種でほとんどのアラビカ種の品種は、源流を辿るとティピカにいきつきます。

長方形の豆で優れた香りと酸味が特徴です。中南米(コロンビア)で広く栽培されてきましたが〝サビ病〟に弱く、多くのシェードツリー(日陰樹)を必要とするなど生産性が低いことから、現在では生産性が高く直射日光にも強いヴェリダ・コロンビア種、カトゥーラ種が主となっています。

ブルボン:

コーヒーの品種の中でも特に古い品種であるブルボンは、ティピカの突然変異で生まれました。

丸みのある小粒の豆でセンターカットがS字を描いているのが特徴です。香りやコクのクォリティは高く、ティピカの特性に似ています。収穫量はティピカより20〜30%多いですが、収穫量が多い品種に比べると少なく隔年収穫という低い生産性ということもあり、次第に他の品種であるカトゥーラやムンド・ノーボに代わられていきました。

カトゥーラ:

カトゥーラは、在来品種のブルボンが突然変異した種でブラジルで発見されました。

豆は小粒で、やや渋味が強いですが豊かな酸味が特徴です。多産で〝サビ病〟にも強いですが、2年に1度の収穫となり品質は高いが手間と施肥にコストがかかってしまうのが難点です。

 

在来種を改良して生まれた新品種:


さて、ここまではアラビカ種の在来品種の3種の説明をしてきましたが、この3種にまつわる4つの品種を説明をしていきたいと思います。

ムンドノーボ:

ブルボン種とスマトラ種(スマトラなどで栽培)の自然交配種

豆は中〜大粒で酸味と苦味のバランスが良く在来種に近い味が特徴です。やや生育が遅いものの環境適応性が高く多産で病害虫にも強い。ただ樹高が3m以上と高くなりすぎるのが欠点でもあります。

ブラジル全土で在来が始まり、現在はカトゥーラ、ムンド・ノーボとカトゥーラの交配種であるカトゥアイと並ぶブラジルの主力品種です。このハイブリッド品種が初めて登場した時、将来性への期待をこめて〝ムンド・ノーボ〟(新世界の意)と名づけられました。

カトゥアイ:

ムンド・ノーボとカトゥーラの交配種

味の特徴としては、ムンド・ノーボに比べ味がやや単調でコクに欠けますが、多産で環境適応性も高く樹高も低い。

ムンド・ノーボは樹高が高くなりすぎて収穫作業に難があった為、樹高の低いカトゥーラと交配されました。毎年結実し、病害虫にも強く、強い雨風にも落果しない強さを持っているハイブリッド種になります。

カチモール:

チモールとカトゥーラの交配種

ポルトガルで〝サビ病〟に強いチモール種(アラビカ種とロブスタ種の交配種)とカトゥーラが交配されて作られたハイブリッド種がチモールです。

樹高は低めで丈夫、環境適応性が高く多産です。豆は大粒で味覚の点でほとんど見劣りはしませんが、高地で産出されたブルボン、カトゥーラ、カトゥ・アイと比べると劣ってしまいます。しかし、近年ではカチモールをベースに新しい品種が数多く生まれています。

ヴェリダコロンビア:

カチモールとカトゥーラの交配種

カチモール種とカトゥーラ種を交配させた耐病性に優れたハイブリッド品種です。直射日光に強く、短期に多収穫を実現!コロンビアではかつて主力品種だった在来種のティピカをマイナー品種に追いやったほど…。

一般にティピカを代表するアラビカ種のコーヒの樹はシェードツリー(日陰樹)を必要としますが、ロブスタ種の特徴を4分の1だけ受け継いでいるヴェリダ・コロンビアはシェードツリー(日陰樹)がなくても通年生産出来るという強みがあります。

 

品種改良と問題点のまとめ:


代表する改良品種の説明をしてきましたが、どのように改良されてきたのかまとめてみようと思います。

  • 多収穫になった
  • 樹高が高いと収穫が困難のため、矮性種になった
  • 耐病性(特にサビ病)がある
  • 早期収穫(従来は3年かかっていたものが1〜2年で可能)になった
  • 収穫期が短く効率的になった
  • 環境適応性が高くなった(特に霜害)
  • 外見的に生豆も大粒になった
  • 味覚的優等性!

特性を見れば判るように、品種改良の歴史は1つはサビ病をはじめとする病虫害対策であり、また多収穫の追求が主な目的となります。

いずれにしても毎年一定の収穫が望めることが重要な為、在来種ではなくティピカ、ブルボン、カトゥーラにまつわる4つの品種のようなハイブリッド種が勢力を伸ばしてきたということである。背景には味覚向上というより目に見えない経済的メカニズムが働いてるいるということになります。

 

コーヒーの品種まとめ:

これまでご紹介したようにコーヒーの品種は、主に以下の種類があります。

  • 原種:アラビカ、ロブスタ、リベリカ
  • 在来品種:ティピカ、ブルボン、カトゥーラ
  • ハイブリッド種:ムンドノーボ、カトゥアイ、カチモール、ヴェリダコロンビア

普段なにげなく飲んでいるコーヒーについて、より知識を深めるために、ご紹介したコーヒーの品種の知識を役立てていただければ幸いです。

以上、「コーヒーの品種が驚くほどわかる!特徴や種類など品種のすべてを徹底解説!」…という話題でした。