【結論】ADVAN Sport V107(アドバン スポーツ ブイイチマルナナ)は、ヨコハマがグローバルフラッグシップと位置づけるウルトラハイパフォーマンスタイヤだ。サーキットのタイム短縮よりも、高出力プレミアムカーが高速巡航で見せる挙動を整えることに軸足を置いている。
メルセデスAMGやBMW Mのスペシャルモデルに新車装着タイヤとして採用され、ドイツ・ニュルブルクリンクでのテストを経て磨き上げられてきた実績は、カタログスペックだけでは伝わらない説得力を持つ。
この名鑑では、V105からの技術的な進化、競合2本との違い、サイズごとの実勢価格まで、V107というタイヤの輪郭を順番に描き出していく。
- なぜ今、ADVAN Sport V107は”高速域の安心感”を選んだのか|開発背景と発売時期
- ADVAN Sport V107の技術的特徴|高速安定性とグリップ力の両立方法
- ADVAN Sport V107の評価を数値化する|6項目でみる強みと個性
- ADVAN Sport V107とスポーツコンタクト7・パイロットスポーツ5との決定的な違い
- ⚠️ヨコハマ ADVAN Sport V107のメリット・デメリット|高速安定性は強いが、価格帯の高さには注意
- ADVAN Sport V107は本当に”高速巡航で安心できる”のか?実走レビューと専門家データで検証
- ADVAN Sport V107がおすすめな人と最適な車種
- ADVAN Sport V107のスペックとラベリング|サイズ展開と価格帯を総まとめ
- まとめ:グリップの尖りより、高速巡航の安心感を選んだフラッグシップ
- 高速安定という優先順位は、同じADVANの中でも他社の中でも際立つ
なぜ今、ADVAN Sport V107は”高速域の安心感”を選んだのか|開発背景と発売時期

V107は、2021年12月にヨコハマが発表し、2022年3月から国内外で順次発売を開始したグローバルフラッグシップタイヤだ。ブランド「ADVAN」の頂点に立つV105の後継として、運動性能・快適性・安全性のバランスをさらに引き上げる狙いで開発された。
誕生の系譜
2005年に登場した「V103」から2013年の「V105」へと引き継がれ、メルセデス・ベンツやアウディ、ポルシェといったハイパフォーマンスプレミアムカーへの新車装着で存在感を高めてきた。V107はその系譜の最新世代にあたる。
開発体制の転換
プレミアムカーメーカーとの共同開発体制を強め、世界一過酷なテストコースとも呼ばれるドイツ・ニュルブルクリンクでの走行テストを重ねることで、高速域での操縦安定性を専用に磨き上げている。
対象領域の広さ
高出力セダンやスポーツクーペだけでなく、SUVやEVを含むプレミアムカー全般を対象にしており、駆動方式やパワートレインを問わない懐の深さが特徴だ。
いまの立ち位置
発売から2026年で丸4年目を迎え、17インチから24インチまで100サイズを超えるラインナップへと拡大を続けている。後継とみられる次世代モデルの情報は、2026年9月時点では公式に発表されていない。
ADVAN Sport V107の技術的特徴|高速安定性とグリップ力の両立方法

V107を成立させているのは、ベルト構造・プロファイル・コンパウンドという3つの要素にまたがる技術の組み合わせだ。
①マトリックス・ボディ・プライ(=サイドからショルダーまで交差させる二重構造)
先代V105から続く技術で、周方向の剛性を高めステアリング操作に対する応答の正確さを実現する。一部サイズには市販用として同社初となる高剛性アラミド繊維の「パワークラウンベルト」も採用し、高速走行時にプライがせり上がる動きを抑えている。
②新マウンド・プロファイル+非対称トレッドパターン
接地面圧がより均一になるよう断面形状を最適化し、高速安定性を高めた。イン側とアウト側で役割を変えた非対称パターンと幅広のストレートグルーブが、ドライ性能とハイドロプレーニング耐性を両立させている。
③ウルトラマイクロシリカ+新シランカップリング剤コンパウンド
従来品よりも粒子径の小さいシリカとカーボンブラックを増量配合し、新しいシランカップリング剤と組み合わせることで、ドライ・ウェット双方のグリップ力を底上げしている。
ADVAN Sport V107の評価を数値化する|6項目でみる強みと個性

V107の性能は表計算だけでは語りにくいが、あえて5点満点のスコアに置き換えてみる。数値はヨコハマ非公表の独自採点であり、公式資料・試乗記事・実購入者レビューをもとにした編集部の相対比較であることをあらかじめ明記しておきたい。
| 評価項目 | スコア | 根拠コメント |
| ドライ性能 | 4.5 / 5.0 | BMW iX3 Mスポーツやポルシェ718ボクスターでの試乗レビューで、高い速度域でも安心してコーナリングできるグリップ力が繰り返し評価されている。 |
| ウェット性能 | 4.0 / 5.0 | ウルトラマイクロシリカ配合コンパウンドと非対称パターンによる排水性で、雨天高速巡航でも不安の少ない挙動が報告されている。 |
| 高速安定性 | 4.5 / 5.0 | 開発時から接地面圧の均一化を追求しており、高速巡航時の直進安定性はV107最大のセールスポイントとして各メディアが言及している。 |
| 乗り心地 | 4.0 / 5.0 | 箱根ターンパイクでの新旧比較試乗では、スポーツ性能を保ちながらコンフォート性を両立できていると評価された。 |
| 静粛性 | 4.0 / 5.0 | 市街地から高速巡航に移る場面での静粛性の高さに驚いたという試乗記事があり、実購入者のレビューでもロードノイズの低減を実感する声がある。 |
| 耐久性・コスパ | 3.0 / 5.0 | トレッドウェアはV105と同水準にとどまり、フラッグシップらしく価格帯も高め。実購入者からも「値は張るが」という声が挙がっている。 |
最大の強み
高速安定性の4.5。接地面圧の均一化を突き詰めた開発姿勢が、高出力プレミアムカーの速度域でこそ効いてくる。
意外な健闘
静粛性の4.0。ゴツさよりもむしろ上質さで語られることが多く、装着後の第一印象として静けさへの驚きが複数のレビューから挙がっている。
割り切っている点
耐久性・コスパの3.0。フラッグシップという立ち位置ゆえに価格帯は高く、摩耗の速さで選ぶタイヤではない。
ADVAN Sport V107とスポーツコンタクト7・パイロットスポーツ5との決定的な違い

V107と比べられることが多いのは、コンチネンタル スポーツコンタクト7とミシュラン パイロットスポーツ5の2本だ。いずれもプレミアムカー向けのハイパフォーマンスタイヤだが、どこに開発の重心を置いているかで棲み分けがはっきり分かれる。
| 比較項目 | V107 | スポーツコンタクト7 | パイロットスポーツ5 |
| 発売時期 | 2022年3月(国内、V105後継) | 2022年6月(19〜23インチから発売開始、現在は18インチまで拡大) | 2022年3月8日(17〜21インチ全43サイズ) |
| ラベリング | 全サイズ低車外音、一部サイズ低燃費基準適合、メルセデスAMG・BMW M承認サイズあり | サーキットユース対応、ブラックチリ系コンパウンド | パイロットスポーツ4後継、低燃費・意匠性を強化 |
| 最大の強み | 高出力プレミアムカーへの純正装着実績と17〜24インチという圧倒的なサイズの広さ | パペンブルグ3000での最高速記録(384.12km/h)に象徴されるドライビングプレジャー | 転がり抵抗の低減と見た目の満足感を両立した扱いやすさ |
| 性格 | 高速巡航重視のバランス型フラッグシップ | よりサーキット・スポーツ走行志向の高性能タイプ | 快適性と入手性を重視したグローバルスタンダードUHP |
| 対象車種 | 高出力セダン・クーペ・SUV・EVまで幅広いプレミアムカー | 高性能スポーツカー・ハイパワーセダン中心 | スポーツセダン〜クーペ中心、17インチ帯から選びやすい |
実際、コンチネンタルの技術者はスポーツコンタクト7についてサーキットでのタイム短縮を第一目的にしたタイヤではないと説明しており、この点はV107の高速巡航重視という方向性と重なる部分もある。ただし発売当初は19インチ以上の大径サイズから展開を始めた経緯があり、17インチ帯から幅広く選べるV107とは対象となる車格がやや異なる。
プレミアムカーへの純正実績で選ぶならV107
メルセデスAMGやBMW Mの特別仕様に採用されてきた実績があり、高速巡航での安定感を求める人に向く。
サーキット走行も視野に入れるなら
スポーツコンタクト7。速度記録に裏打ちされたドライビングプレジャーを重視する層に合う。
入手性と扱いやすさで選ぶなら
パイロットスポーツ5。17インチ帯から選べるサイズの広さと、転がり抵抗を抑えた設計が魅力になる。
ただし、コースでの尖った速さや低燃費志向をアピールポイントにしたいなら、スポーツコンタクト7やパイロットスポーツ5に分がある。
⚠️ヨコハマ ADVAN Sport V107のメリット・デメリット|高速安定性は強いが、価格帯の高さには注意

高速巡航に振り切った代わりに、V107が手放している要素もはっきりしている。得意分野を伸ばす一方で、コストや競技志向のグリップは意図的に主戦場から外している。
⭕メリット:プレミアムカーへの純正採用実績に裏打ちされた高速安定性
メルセデスAMG EQSやBMW X5/X6のMパフォーマンスモデル、BMW XMといった特別仕様への新車装着タイヤ承認を獲得しており、開発段階からニュルブルクリンクでのテストを重ねてきた実績がある。装着してすぐの印象として静粛性の高さを挙げるユーザーが目立ち、スポーティな見た目からは想像しにくい上質な乗り味とのギャップが好評価につながっている。
❌デメリット:価格帯の高さと、本格グリップ志向には物足りなさという2つの割り切り
①フラッグシップならではの価格帯
18インチの標準的なサイズでも1本3万円台前半、大径の23インチクラスになると1本6万円を超えるサイズもあり、価格重視でタイヤを選ぶ場合には他の選択肢も検討されやすい。
②サーキット志向のグリップには一段譲る場面も
TIREHOODの実購入レビューには、本来はポテンザRE-71やネオバといった競技志向のグレードを検討していたが、在庫の都合でV107を選んだという声がある。街乗りレベルでは不満がないとされているものの、コース全開走行を前提にした尖ったグリップを求める層には、決め手に欠ける面がある。
高速巡航時の安定感を最優先するなら有力な候補になるが、価格や競技グリップを重視する場合は、他の選択肢と並べて検討したい。
ADVAN Sport V107は本当に”高速巡航で安心できる”のか?実走レビューと専門家データで検証

V107を選んだ人の生の声と、試乗の場でメディアが記録した挙動。切り口の違う2つの情報を重ねることで、このタイヤの評価がどこから来ているのかが見えてくる。
ユーザーの声|先代からの乗り換えで感じた質感の変化
「サイドウォールがかっこよく、乗り心地も静粛性も向上した」
タイヤ通販サイト「TIREHOOD」のポルシェ ケイマンオーナーによる265/40R19サイズのレビューには、V105からV107に乗り換えたところ、デザイン性の高さに加えて乗り心地や静粛性の向上を実感したという声が寄せられている。
編集部の見立て:フラッグシップが世代交代しても快適性を犠牲にしていない点は、開発陣が掲げてきたバランス重視の姿勢を裏づける材料と言えるだろう。
「本来のグレードではなかったが、街乗りでは十分満足」
同じくTIREHOODには、日産フェアレディZオーナーから、本来はポテンザRE-71やネオバを検討していたが車検間際の在庫都合でV107を選んだという声も寄せられている。
編集部の見立て:競技志向のグリップを最優先する層には一段グレードを下げた選択に映る一方、街乗りレベルでは十分な満足度を得られている点は、バランス型フラッグシップとしての実力を裏付けている。
専門家の評|試乗メディアが見た高速巡航時の質感
webCGが伝えたBMW iX3試乗インプレッション
自動車情報メディア「webCG」の試乗記事では、BMW iX3 Mスポーツに装着した状態で市街地から高速道路の巡航に移る場面での静粛性の高さが指摘されており、プレミアムカーメーカーとの共同開発やニュルブルクリンクでのテストによって鍛えられた完成度がうかがえるとされている。
編集部の見立て:BEVならではの静かな走行環境でこそタイヤ自体の質感がそのまま表に出るだけに、この指摘は額面通りに受け取ってよさそうだ。
WEB CARTOPが報じた新旧比較インプレッション
自動車情報メディア「WEB CARTOP」では、レーシングドライバーの谷口信輝氏がメルセデス・ベンツ C220d 4MATIC オールテレインでV105とV107を乗り比べ、V107がドライ・ウェット性能や操縦安定性を含めて全方位で進化していたと報告している。
編集部の見立て:プロドライバーが先代の完成度の高さを認めた上でなお進化を実感している点は、V107の高速安定性が単なる数値上の改善にとどまらないことを示している。
ADVAN Sport V107がおすすめな人と最適な車種

高出力プレミアムカーに乗り、高速道路での巡航時間が長い人ほど、V107の設計思想と噛み合いやすい。開発段階からニュルブルクリンクでの走り込みを重ねてきた背景が、そのまま体感につながっているためだ。
反対に、コースでのタイムアタックや価格の安さを軸に選びたい人には、スポーツコンタクト7やパイロットスポーツ5の方が満足度は高いだろう。
高出力プレミアムセダン・クーペのオーナー
BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスなど、TIREHOODの適合車種データに載っている車格に近い。
高速道路をよく使う長距離ドライバー
直進安定性と静粛性を重視する使い方で、V107の持ち味がそのまま出やすい。
この用途なら他モデルが向く人
サーキット走行や価格の安さを最優先したいなら、スポーツコンタクト7やパイロットスポーツ5の方が満足度は高い。
| タイヤサイズ | 代表車種 | 価格目安(1本・税込) | このサイズを選ぶ理由 |
| 225/45ZR18 95Y XL | BMW 3シリーズセダン、メルセデス・ベンツ Cクラス等 | 32,340円前後 | 18インチ帯で流通量が多く、TIREHOODの適合データでも複数のプレミアムセダンで確認できる定番サイズ |
| 245/45ZR19 102Y XL | 19インチを装着する大型セダン・クーペ | 40,150円前後(4本160,600円前後) | 高出力セダンで採用例の多い19インチの主力サイズ |
※価格は2026年9月時点でTIREHOODにて確認した税込・1本価格の目安(タイヤ本体のみ、工賃・送料別)。在庫状況や販売店によって変動する。装着予定のサイズが決まったら、同一規格で最新価格を確認したい。
ADVAN Sport V107のスペックとラベリング|サイズ展開と価格帯を総まとめ

| メーカー | ヨコハマ(YOKOHAMA) |
| シリーズ | ADVAN |
| モデル | Sport V107(パターンナンバー:V107) |
| 発売日 | 2022年3月(国内、2021年12月9日発表) |
| 対象 | 高出力セダン・クーペ・SUV・EV等のプレミアムカー |
| サイズ展開 | 205/45R17〜335/30R24、17〜24インチの100サイズ超(公式サイズ表確認時点で約118サイズ) |
| ラベリング | サイズにより異なる(225/45R18は転がり抵抗性能B・ウェットグリップ性能a)。全サイズ低車外音タイヤ、一部サイズは低燃費タイヤ基準に適合。メルセデスAMG EQS(MO)、BMW X5/X6 Mパフォーマンス・XM(★)の承認サイズあり |
| 価格帯 | 1本2万円台後半〜8万円台(サイズにより大きく変動、確認できた実売例で26,900円〜80,500円) |
※価格は2026年9月時点でTIREHOOD・価格.com等の複数販売店にて確認した税込・1本価格の目安。購入時は装着予定サイズの最新価格・在庫を販売店で確認してほしい。
まとめ:グリップの尖りより、高速巡航の安心感を選んだフラッグシップ

ヨコハマ ADVAN Sport V107(YOKOHAMA ADVAN Sport V107)は、V105が築いたバランス思想の土台の上に、高速域での操縦安定性とプレミアムカーからの信頼を積み増してきたグローバルフラッグシップだ。高出力セダンやクーペを高速道路で走らせる時間が長い人ほど、この一本の狙いを実感しやすいだろう。
一方で、サーキットでの尖ったグリップや価格の安さを最優先したい人にとっては、スポーツコンタクト7やパイロットスポーツ5を検討する方が理にかなっている。速さの記録や燃費の数字を競うのではなく、プレミアムカーの質感そのものを引き受けてきた開発の軌跡が、V107というタイヤの一番の個性かもしれない。
高速安定という優先順位は、同じADVANの中でも他社の中でも際立つ
グリップでも静粛性でもなく高速域の安定感を選んだV107の立ち位置はここでつかめたはずだ。ここからは、同じADVANの中で性格の違う型番と比べるか、同じ土俵の他ブランドと突き合わせるかで、判断の解像度を上げていける。
同じADVANの中で、性格の違う型番と比べる
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高速安定よりも日常域の楽しさを優先したい場合の、性格の違う選択肢になる。 - アドバン ネオバ AD09 名鑑|公道で成立するハイグリップスポーツタイヤの完成形
安定感よりもグリップそのものを求めるなら、こちらの方向性の方が合っている。 - 【名鑑】ヨコハマ アドバン dB V553|新品のときが、ピークじゃない。ヨコハマが提示する「静寂を育てる」という新贅沢。
走行性能よりも静粛性を優先したい場合の、もう一つのプレミアムな選択肢になる。
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高速安定と快適性のバランスを求める場合の、輸入ブランドの代表格になる。
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V107以外にどんなシリーズがあるのか、ブランド全体の構成から把握できる。



