ピレリ スコーピオン ゼロ オールシーズンは、ハイパワーSUV向けに“全天候で走りを損なわない”ことを最優先に設計されたモデルだ。
スポーツSUVが抱える車重・トルク・高速での安定性といった課題に対し、高剛性トレッドと緻密なサイプ構造で応答性と全天候性能を両立。
雨・低温・軽雪に対応しながら、SUV本来の鋭いドライバビリティを保つことを目指した、他にはないスポーティ寄りのオールシーズンだ。
この名鑑では、構造思想・性能傾向・他社比較までを専門的に整理し、“どんなSUVユーザーに最適なのか”を明確にしていく。
- 基本スペック|スコーピオン ゼロ オールシーズンの概要
- 簡易性能チャート|構造とコンパウンド特性から見る性能傾向
- 公式データ|スコーピオン ゼロ オールシーズンの事実情報
- 開発ストーリー|“ハイパワーSUVでも攻められる全天候”をテーマに設計された1本
- 他社比較|静粛型・バランス型・高速安定型で見るスコーピオン ゼロASの立ち位置
- メリット・デメリット|スコーピオン ゼロASの変わらない特徴
- サイズ展開|各SUVで装着されることが多い主要サイズを中心に、代表的なラインナップをまとめた。
- 車種別適合|主要SUVの代表純正サイズを基準にまとめた
- まとめ|スコーピオン ゼロASが向いているユーザー
- 関連記事|スポーツSUVの走りと全天候性能を深掘りしたい人へ
基本スペック|スコーピオン ゼロ オールシーズンの概要

- 発売年:2018年
- パターンタイプ:左右非対称パターン(高剛性ショルダー+細密サイプ構造)
- 速度記号・ロードインデックス:例)255/50R20 109V
- 適合車種:プレミアムSUV、スポーツSUV(Q5/X3/GLC/レンジローバーイヴォークなど)
簡易性能チャート|構造とコンパウンド特性から見る性能傾向

- ドライ:高剛性ブロックが効いて切り返しが鋭い。重いSUVでも応答がダルくならない。
- ウェット:ワイドリブとシリカ強化コンパウンドで、加速・制動の安定が出るタイプ。
- 静粛性:スポーツ寄りのためノイズはやや入るが、パターン配置で一定以上は抑えている。
- 乗り心地:剛性高めのキャラで“締まった”乗り味。しっとり感よりコントロール性を優先。
- 雪:細密サイプで軽雪はカバーできる。凍結や深雪は守備範囲外。
- 寿命:硬めのコンパウンドで摩耗は安定。スポーティSUVでも減りにくい傾向。
※ このチャートはメーカーの公式値ではなく、トレッド構造とコンパウンド特性から導いた専門的な傾向評価だ。
公式データ|スコーピオン ゼロ オールシーズンの事実情報

- 対応規格:M+S、3PMSF
- パターン構造:左右非対称パターン(高剛性ショルダー+マルチサイプ)
- EUラベル:ウェット性能:C〜B / 転がり抵抗:C〜E / ノイズ:クラス2
- コンパウンド:高シリカ配合“オールシーズン専用スポーツコンパウンド”
- 発売年:2018年
開発ストーリー|“ハイパワーSUVでも攻められる全天候”をテーマに設計された1本

スコーピオン ゼロ オールシーズンは、「ハイパワーSUVの走りを落とさず、四季をまたいで踏んでいけるタイヤ」を作るために開発された。
大型SUVは車重・トルク・速度域が高く、一般的なオールシーズンでは剛性不足になりやすい。そこでピレリは高剛性ショルダーと幅広リブを軸に“スポーツ基調の骨格”を構築。
さらに細密サイプで低温時の粘りを持たせ、軽雪までをカバーできる全天候性能を追加した。
結果として、他社の“静粛寄り”や“コンフォート寄り”とは異なる、スポーティSUV専用のオールシーズンとして独自の立ち位置を築いている。
他社比較|静粛型・バランス型・高速安定型で見るスコーピオン ゼロASの立ち位置

オールシーズンタイヤは“どの性能を軸に置くか”で性格が大きく変わる。
スコーピオン ゼロ オールシーズンは、走りと高速安定を優先したタイプ。その立ち位置を3タイプで整理する。
① 静粛型(ヨコハマ ブルーアース4S AW21)
静けさ・乗り心地を最優先するタイプ。AW21は街乗りの快適性が際立ち、ノイズを徹底的に抑える方向性。
スコーピオン ゼロASは静粛では劣るが、剛性感・応答性の鋭さでまったく違うキャラクターを持つ。
② バランス型(ジオランダー CV G058 など)
雨・静粛・軽雪・乗り心地を均等にまとめた“万能寄り”のカテゴリー。
ゼロASはここよりもスポーツ寄りで、重いSUVでも切れのあるステアフィールと高速での安定性を重視した設計になっている。
③ 高速安定型(ミシュラン クロスクライメート 3)
高速走行の安定性・剛性・直進の強さを最優先するタイプ。
クロスクライメート3は高速性能が高いが、ゼロASは“スポーツSUV向けの応答性”が加わることで、走りのキレという点で差別化される。
メリット・デメリット|スコーピオン ゼロASの変わらない特徴

メリット
- 応答性が鋭い。高剛性ショルダーでステア操作が速く反応し、スポーツSUVでもダルさが出ない。
- 高速の安定感が強い。幅広リブと強いトレッド剛性が効き、直進の“芯”がしっかり残る。
- 低温ウェットにも強い。高シリカ配合コンパウンドで冬の雨や冷えた路面でもグリップが落ちにくい。
- 軽雪に対応。細密サイプで都市部の軽い積雪は十分カバー。冬の不意打ちに強い。
- スポーツSUVとの相性が良い。重量級×高トルク車の特性に合わせた構造で、ドライバビリティを保ちやすい。
デメリット
- 静粛性は控えめ。スポーツ寄り構造のため、快適性重視モデルには劣る。
- 乗り心地は硬め。締まったスポーツ感のあるフィーリングで、柔らかさを求める人には不向き。
- 深雪や凍結は苦手。軽雪はOKだが、本格冬道はスタッドレス必須。
サイズ展開|各SUVで装着されることが多い主要サイズを中心に、代表的なラインナップをまとめた。

※ ここでは流通量が多い主要サイズだけを抜粋している。全サイズ一覧ではなく、代表的なラインナップをまとめた形だ。
- 235/55R19
- 255/55R19
- 255/50R20
- 265/45R20
- 275/45R21
- 285/40R21
- 315/35R20
車種別適合|主要SUVの代表純正サイズを基準にまとめた

※ グレードで純正サイズが違うことがあるけど、ここでは代表的な純正サイズを基準にまとめている。
プレミアムSUV
- アウディ Q5(235/55R19)
- アウディ SQ5(255/45R20)
- BMW X3(245/50R19)
- BMW X4(255/45R20)
ラージSUV・高出力系
- メルセデス GLC(255/50R19)
- メルセデス GLE(275/45R21)
- ジャガー F-PACE(255/50R20)
- ランドローバー レンジローバー イヴォーク(235/55R19)
ハイパフォーマンスSUV
- ポルシェ マカン(265/45R20)
- ポルシェ カイエン(285/40R21)
- アウディ RS Q3(255/40R20)
まとめ|スコーピオン ゼロASが向いているユーザー

スコーピオン ゼロ オールシーズンは、「ハイパワーSUVの走りを損なわずに、四季を通して安心して踏みたい」ユーザーに最適な一本だ。
走りのキレ・高速の芯の強さ・低温ウェットの安定感といった“スポーツSUVに必須の性能”を維持しながら、軽雪まで対応する全天候性を両立。
静粛性や柔らかさを重視するタイプではなく、操る感覚・応答性を大切にしたいドライバーに向く。
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