ハイエース・キャラバン・ボンゴ…。冬の現場を支える商用バンにとって、タイヤ選びは“命綱”だ。
ブリヂストンが誇るスタッドレスシリーズ「ブリザック」の中でも、商用専用モデルとして人気を分けるのがVL1とVL10。
同じ「ブリザック」でも中身はまったく違う。VL1は“タフに減らず”、VL10は“氷上で止まる”。
この記事では氷上性能・寿命・静粛性・口コミまで徹底的に比較し、現場ドライバーにとって本当に信頼できる一本を見極めていく。
ブリザックVL1とは?働く車のための“耐久系スタッドレス”
ブリヂストンが商用車専用に仕立てたのがブリザックVL1。
ハイエースやキャラバンのような重量級バンでも“減らずに持つ”ことを最優先に設計された、まさに現場の相棒。
見た目は無骨だが、走り出せばその硬派な性格がすぐに伝わってくる。
舗装路でもふらつかず、積載してもブレない──そんな安定感がVL1最大の魅力だ。
耐久性と摩耗の少なさが異次元
VL1の本領はとにかく減らないこと。
荷重に強いトラック・バン専用コンパウンドを使い、ブロックのヨレや削れを徹底的に抑制。
高荷重でも偏摩耗が起きにくく、溝が均一に減っていく。営業車や配送車で1日100km走っても、寿命の減りが目に見えて違う。
- 高荷重対応ハードコンパウンド採用
- 偏摩耗・段摩耗を防ぐ剛性バランス設計
- 空車時でも接地安定性が高く、ふらつかない
→ “長距離+多積載”の現場で、信頼を得てきた理由がここにある。
氷上性能は必要十分、効きより安定
VL1は氷上に特化していないが、圧雪路や軽い凍結なら十分対応。
ゴムはやや硬めで、急制動よりも発進と直進安定に強い。「止まるよりも走る」を求める商用スタイルにぴったりだ。
- 圧雪路での直進安定性が高い
- 硬めのゴムでハンドリングが自然
- 低温でもトラクションが途切れにくい
→ 氷の上で勝負するタイヤではなく、“日々の仕事を支える実用タイヤ”。
過酷な現場で求められる“タフさ”を最優先している。
燃費とコスパに優れる万能型
摩耗の遅さに加えて、転がり抵抗が少ないのもVL1の強み。
スタッドレス特有の“重さ”が少なく、燃費の落ち込みを最小限に抑える。
長距離を走る営業車では、この違いが年間コストに直結する。
- 転がり抵抗を抑えて燃費をキープ
- 4シーズン使っても性能劣化が少ない
- タイヤ単価が安く、ランニングコスト◎
▶ 減らず・壊れず・走り続ける──それがVL1。コスパ最重視なら、今でも指名するプロは多い。
ブリザックVL10とは?氷上性能を磨いた進化系バンタイヤ
ブリザックVL10は、従来モデルのVL1をベースに“効き”を磨き上げた次世代モデル。
ブリヂストンが商用車用スタッドレスに本格的な氷上技術を投入したことで、「働くクルマでも止まる」という新しい常識を生んだ。
見た目は似ていても中身はまるで別物。凍結した朝の出発や雪の残る峠道で、その差がはっきり出る。
氷上制動距離はVL1比で約20%短縮
VL10はブリザックシリーズの象徴ともいえるアクティブ吸水ゴムを新採用。
氷上に浮く薄い水膜を吸着して除去し、タイヤを氷にピタッと密着させる。
これにより氷上での制動距離はVL1比で約20%短縮。発進時の空転も少なく、氷の坂道でも力強く登る。
- 新開発アクティブ吸水ゴムで氷上グリップが大幅向上
- VL1比で氷上制動距離を約20%短縮
- 凍結路・圧雪路の安定性が飛躍的に向上
→ ブリザックのDNAを受け継ぎながら、商用モデルとしての“止まる力”を本格装備した一台。
空車でも快適、静粛性が大幅進化
VL10ではサイドウォールの剛性バランスを見直し、ロードノイズを低減。
従来の商用タイヤにありがちな「ガタガタ感」や「バタつき感」が大きく改善され、空荷で走っても不快な突き上げが少ない。
高速道路でも静かで、ハンドル操作がしっとり落ち着く。
- 空車時でもしなやかに動くサイド構造
- 新パターン設計でロードノイズをカット
- 乗用車に近い乗り心地を実現
→ 商用バン=うるさい、硬いという常識を覆す“静かに効く”タイヤ。
ブリザックらしい信頼性と耐久性
VL10は氷上性能を高めつつ、耐摩耗性もしっかり確保。ブロック剛性を上げ、荷重のかかる商用バン特有の偏摩耗を防いでいる。
つまり「効くのに減らない」。
この両立がVL10を“完成度の高い商用ブリザック”に押し上げた。
- 高荷重でも摩耗バランスを維持
- 氷上性能の持続力が長い
- ブロック剛性と柔軟性のバランスが秀逸
▶ VL1のタフさに、ブリザックの“止まる技術”を融合。氷上性能+快適性の両立で、商用タイヤの常識を塗り替えた。
ブリザックVL1とVL10の違い|氷上性能・寿命・静粛性を徹底比較
同じ「ブリザック」でも、VL1とVL10はまったく別キャラ。
VL1は“耐久とコスパ”を重視した現場向けタイヤ、VL10は“氷上で止まる力”と“快適性”を突き詰めた進化モデル。
ここからは、氷上性能・寿命・静粛性という3つの視点で、どちらが本当に“冬の現場に強い”のかを掘り下げていく。
氷上性能の違い|止まる力で見ればVL10が圧勝
氷上性能で比べると、VL10が明確に上。
VL1は「圧雪・軽い凍結」に強く、通勤や配送など日常使いでは十分。
一方、VL10は氷上での制動距離がVL1比で約20%短く、凍結した坂道でも確実に止まる。
氷上特化の技術が商用バン用に落とし込まれたことで、“効き”の次元がひとつ上がった。
- VL1:軽い凍結や圧雪なら実用的に効く
- VL10:氷上での制動距離が約20%短縮
- 発進・コーナーでの安定感もVL10が上
→ 凍結した朝や雪国での使用が多いなら、迷わずVL10。
雪が少ない地域では、VL1でも“安心して走れる範囲”に収まる。
寿命・耐久性の違い|“減りにくいVL1”と“効きが続くVL10”
スタッドレスを長く使ううえで欠かせないのが「摩耗の少なさ」と「効きの持続」。
VL1とVL10はここでも設計思想が真逆だ。
VL1はとにかく減らない。
一方、VL10は摩耗よりも効きの長持ちに全力を注いでいる。
VL1は高荷重にも耐える硬質コンパウンドを採用。
ブロックの倒れや変形を抑え、3〜4シーズン走っても摩耗が少ない。特に配送・営業車など、距離を走る車には最高の相棒だ。
- 硬めのゴムで摩耗が遅い
- 均一なブロック剛性で偏摩耗を防ぐ
- 燃費の落ち込みも少なく、経済性が高い
VL10は柔軟性を長期間キープする“ロングライフ吸水ゴム”を採用。経年で硬化しにくく、氷上性能が3〜4年後も落ちにくい。
距離よりも年数で使う人にとっては、この安定感が何よりの安心材料になる。
- 柔軟性が長持ちし、効きの低下が少ない
- シーズンをまたいでも氷上性能が安定
- ブリザックらしいロングライフ構造
→ 「距離を走るならVL1」、「効きを長く保ちたいならVL10」。
どちらも“長く使える”が、持ち味がまったく違う。
静粛性・乗り心地の違い|“タフなVL1”か、“しなやかなVL10”か
商用バンのスタッドレスは、どうしても“うるさい・硬い”という印象を持たれがち。
しかしVL1とVL10はこの点でも方向性が真逆だ。
VL1は重量級バンを想定した剛性感重視の設計で、積載時の安定感と直進性に優れる。
一方VL10は商用タイヤ離れした静粛性としなやかさを持ち、空車でも快適に走れる仕上がりだ。
VL1はサイドウォールが厚く、積荷を載せてもヨレない。
ドライ路面ではステアリングの反応がシャープで、まるでトラックのような「踏ん張る感覚」がある。
その分、空車時はやや突き上げが強く感じることも。
- 積載時の安定性・直進性が非常に高い
- サイド剛性が高く、ふらつきにくい
- 音はやや大きめだが、プロ用途なら許容範囲
VL10は新設計のサイド構造とパターン配置で、ロードノイズを低減し、衝撃をしなやかに吸収。
舗装路を空荷で走っても「静か」「軽い」「滑らか」。長時間運転するドライバーにとって、疲労の差は大きい。
- ロードノイズが少なく、乗用車並みに静か
- サスペンションとの相性が良く、突き上げが少ない
- 空車でも自然なハンドリング
→ VL1は“積んで走るタフ派”、VL10は“静かに効く快適派”。
どちらも用途がはっきり分かれるからこそ、選びやすい。
価格・コスパの違い|“初期費用ならVL1” “長期コスパならVL10”
性能も大事だが、やっぱり気になるのは価格差。
VL1とVL10は同じブリヂストン製でも、価格レンジがしっかり分かれている。
前者は価格重視の実用モデル、後者は性能重視のプレミアムモデル。どちらもコスパは良いが、“どこで得を取るか”が違う。
VL1は1本あたりおおよそ10,000〜14,000円前後。
商用タイヤとしては手に入りやすく、しかも耐摩耗性が高いため、長距離を走る営業・配送ユーザーにとってはランニングコストが抜群。
「減らない・壊れない・安い」の三拍子で、依然として根強い人気を持つ。
- 実売価格:1本 約10,000〜14,000円
- 初期費用が安く、交換コストを抑えやすい
- 燃費ロスが少なく、年間維持費も低い
VL10は氷上性能や快適性を高めた分、価格帯も一段上。実売では1本 約15,000〜18,000円前後が中心。
ただし効きの持続性と耐久力を考えると、4シーズン履いても安心して使えるため、結果的に年あたりのコスパはVL1に並ぶ、もしくは上回る。
- 実売価格:1本 約15,000〜18,000円
- 高性能・長寿命で“長く効く”コスパ設計
- ブリザックの安心感を買う価値あり
→ 「予算を抑えて実用性を取るならVL1」、「長期的な安心で元を取るならVL10」。
どちらも方向性が違うだけで、満足度は高い。
どちらを選ぶべきか?|“距離で稼ぐVL1”か、“安心で勝つVL10”か
結論から言えば、VL1とVL10は“どちらが上”ではなく、“どちらが合うか”。
求めるのが耐久とコスパならVL1、
氷上性能と安心感ならVL10──この選び分けがすべてだ。
どちらもブリザックの名に恥じない完成度で、用途が違うだけ。
- VL1:積載が多く、距離を走るドライバーに最適。減らずに長く使える。
- VL10:凍結や雪の多い地域で“止まる力”を求める人に最適。氷上性能が段違い。
つまり──
「都市部で通勤・配送メイン」ならVL1で十分。
「雪国・山間部・凍結路メイン」ならVL10が絶対的に安心。
どちらを選んでも“ハズレなし”、自分の走り方と地域が答えを教えてくれる。