「ブリザックDM-V3とVRX3、どっちが止まるの?」──SUVドライバーなら一度は気になる疑問だろう。
どちらもブリヂストンの最新スタッドレスで、氷上性能・静粛性・寿命すべてが高水準。しかし実はこの2本、設計コンセプトがまったく違う。
この記事では、実測データと実走レビューをもとに、氷上・雪上性能、静粛性、寿命、価格まで徹底比較。
SUVで“本当に止まる”スタッドレスを、体感目線で本音レビューしていく。
【徹底比較】ブリザック DM-V3 vs VRX3|SUV最強はどっち?
ブリヂストンのスタッドレス2大看板「VRX3」と「DM-V3」。
どちらもブリザックシリーズの最新世代で、氷上性能・静粛性・寿命のすべてを底上げしてきた傑作だ。
ただし、この2本──似て非なる存在。
VRX3は乗用車〜SUV兼用の万能型、
DM-V3はSUV専用のハイパフォーマンス特化型。同じブリザックでも、設計思想がまるで違うんだ。
結論から言えば、街乗りや都市部中心ならVRX3、雪国・山道・重量級SUVならDM-V3がベスト。
どちらを選んでも外れはないが、「走る環境」で差が出るタイヤだ。
比較項目 | ブリザック DM-V3 | ブリザック VRX3 |
---|---|---|
対応車種 | SUV専用 | 乗用車〜SUV兼用 |
氷上性能 | ◎(トラクション重視・重量車に強い) | ◎(制動安定性が高い) |
雪上性能 | ◎(深雪・登坂に強い) | ○(圧雪向き) |
ドライ・ウェット性能 | ○(SUV安定志向) | ◎(静粛・快適系) |
寿命・燃費性能 | ◎(摩耗に強くロングライフ) | ○(柔らかめで減り早め) |
価格帯 | やや高め(上位モデル) | 標準〜中価格帯 |
つまり──
“SUVの性能を引き出したいならDM-V3”、
“普段使いで静かに走りたいならVRX3”。
同じブリザックでも、走りのキャラがハッキリ違う。
氷上性能|重量級SUVでも止まる“ブレーキ力”を比較!
「氷の上で止まれるか」、それこそがスタッドレスの本質。
ブリヂストンのブリザックシリーズは、この“氷上の効き”で常に頂点を走ってきた。
ただ、DM-V3とVRX3では“止まり方”の性格がまるで違う。
ブリザックDM-V3は、SUVの車重を受け止めるための剛性感のある氷上グリップが武器。
シリカ高配合の「アクティブ発泡ゴム2」で、路面の微細な凹凸に密着。
重いボディでもブレーキ時にブロックがつぶれず、トラクションを最後まで維持して止まる。大型SUVや4WD勢が「DM-V3は効く」と口をそろえる理由がここにある。
一方のVRX3は、より“しなやかに止まる”タイプ。
ナノプロテック3世代目のゴムが路面に吸いつくように密着し、初期制動〜停止までの安定感が秀逸。
軽量SUVやクロスオーバー車では、タイヤが路面を滑らかに掴み、ブレーキ距離を短く抑える設計になっている。
氷上性能比較 | ブリザック DM-V3 | ブリザック VRX3 |
---|---|---|
氷上ブレーキ距離 | 極短(重量車でも安定して止まる) | 極短(軽量車で特に優秀) |
氷上トラクション(発進力) | ◎(4WDとの相性抜群) | ◎(前輪駆動でも安定) |
氷上旋回安定性 | ◎(ふらつきが少ない) | ◎(滑り出しが穏やか) |
DM-V3は重量級SUVを氷上で制御する力があり、VRX3は軽快で安定した止まり方が魅力。
どちらも「止まる力」はトップクラスだが、“SUVの重さをねじ伏せる安定感”はDM-V3の勝ち、“誰でも扱える扱いやすさ”はVRX3の勝ち。
氷上ブレーキで比べると、ブリヂストンが両モデルで異なる“理想の効き方”を追求しているのがわかる。
その差は数字よりも体感で違う──それがブリザックの面白さだ。
雪上性能|積雪・圧雪路でのトラクションを徹底分析
氷の上での「止まる力」に続いて、雪道では「進む力」=トラクションが主役になる。
特にSUVは重量があるぶん、雪を“掻いて進む”力が命。この領域でも、DM-V3とVRX3ははっきり性格が分かれている。
ブリザックDM-V3は、SUV専用設計の名に恥じない雪掻き性能の高さを持つ。
ブロックが太く深く刻まれた「大型ブロックパターン」で、踏み固めた雪をしっかり噛みながら前に進む。
また、ショルダー剛性を高めることで、深雪でも横滑りしにくく、登坂やコーナーでの安定感が抜群。まさに「雪を力でねじ伏せるタイプ」だ。
対してVRX3は、繊細なパターンで雪面をしっかり捉える“スマート系”。
細かいサイプが密集しており、圧雪路やシャーベット路での密着感が非常に高い。
そのためハンドル操作に対する応答が正確で、街乗りや高速道路などの整備路面ではピタッと安定して走れる。
雪上性能比較 | ブリザック DM-V3 | ブリザック VRX3 |
---|---|---|
深雪での走破性 | ◎(掻き出し力が強い) | ○(やや控えめ) |
圧雪路での直進安定性 | ◎(剛性が高く安定) | ◎(密着性が高く滑らか) |
雪道発進・登坂 | ◎(トラクション強い) | ○(軽めの雪に強い) |
コーナー安定性 | ◎(横剛性が高い) | ◎(滑らかな舵応答) |
DM-V3は「ラッセル車のように掻き進むタイプ」、VRX3は「雪の上をスッと滑らかに走るタイプ」。
どちらも雪上での信頼感は圧倒的だが、雪国・山道=DM-V3、都市部・高速=VRX3と住み分けるのが正解。
ブリザックの雪上性能はどちらも群を抜く。
ただ、その掻き出すか・滑らかに転がすかの違いが、走る環境で明暗を分ける。
乾いた路面・雨の日の走り|非降雪期の安定性を比較
スタッドレスタイヤは「雪道だけのタイヤ」じゃない。
特に最近の冬は、雪が降らない日も多い。
だからこそ、乾いた路面や雨の日でも快適に走れるか──これが重要な比較ポイントになる。
ブリザックVRX3は、非降雪期の走りにおいて他を圧倒する快適さを誇る。
細かいブロックが均一に接地し、スタッドレスとは思えない安定した直進性と静粛性を実現。
さらに「ナノプロテック3世代目コンパウンド」により、ウェット路面でのグリップ力も高く、雨の日でもブレーキ性能をしっかり維持する。
まさに“オールシーズンライクに使えるスタッドレス”だ。
対してブリザックDM-V3は、SUV特化の設計ゆえに剛性感が強く、高速域での安定性が高い一方、ブロックが大きいため、舗装が粗い路面では若干のゴロゴロ感が出やすい。
とはいえそれもSUVの重さを考えれば自然な挙動で、走行安定性は非常に高く、ふらつきが少ない。
トルクの強い4WD車でもブレない走りが魅力だ。
ドライ・ウェット性能比較 | ブリザック DM-V3 | ブリザック VRX3 |
---|---|---|
ドライ路面での安定性 | ◎(SUV重量対応・剛性感高い) | ◎(直進性が高く快適) |
ウェットグリップ性能 | ○(安定志向) | ◎(ナノプロテックで高い制動力) |
静粛性 | ○(ブロック音ややあり) | ◎(非常に静か) |
乗り心地 | ◎(安定感重視で落ち着く) | ◎(柔らかく快適) |
非降雪期の快適性ではVRX3が一枚上手。「冬だけでなく普段も使う人」には理想的な1本だ。
一方、DM-V3は荒れた舗装や重い車体でもブレない安心感があり、“冬でもSUVらしく走れる快感”を求めるならこっちが正解。
寿命・燃費・静粛性|重量車に優しいのはどっち?
氷上・雪上性能が高くても、すぐ減ってしまえば意味がない。
特にSUVは車重が重く、摩耗が早い傾向にあるから、寿命と燃費性能の差は実際のコスパに直結する。
ブリザックDM-V3は、その点で非常に優秀。
SUV専用設計の「発泡ゴム2」は耐摩耗性を重視したコンパウンドで、ブロックの倒れ込みを抑えることで摩耗を均一化し、長期間性能を維持できる。
実際、ユーザーの声でも「3〜4シーズン使ってもグリップが落ちない」という意見が多い。
さらに、ブロック剛性が高いことが燃費面にも貢献。SUVタイヤにありがちな“転がり抵抗の高さ”を抑え、重い車でも軽快に転がる感覚がある。
結果として、冬場でも燃費悪化を最小限に抑えられる。
VRX3は、やや柔らかめのコンパウンドで、
氷上の密着性を高める代わりに摩耗は早め。
それでもブリザック史上では改良されており、実用3シーズン前後なら安定した性能を維持できるレベルだ。
静粛性は文句なしで、特に都市部や高速走行時の静かさはスタッドレス界随一。
耐久・快適性比較 | ブリザック DM-V3 | ブリザック VRX3 |
---|---|---|
寿命(摩耗耐性) | ◎(3〜4シーズン安定) | ○(2〜3シーズン目安) |
燃費性能(転がり抵抗) | ◎(SUVでも軽快) | ○(やや抵抗高め) |
静粛性 | ○(ブロック音あり) | ◎(街乗りでも非常に静か) |
経年劣化(ゴム硬化) | ◎(発泡ゴムで長持ち) | ○(柔らかめで劣化早め) |
まとめると──
長く履きたい・燃費も重視したいならDM-V3、
静かさと街乗り快適性を優先するならVRX3。
どちらもブリザックらしい高耐久設計だが、DM-V3のほうが“タフで経済的”な印象だ。
価格・コスパ比較|サイズ別の相場をチェック
タイヤ選びで見逃せないのが“価格と性能のバランス”=コスパ。
ここでは、代表的なサイズでの実売価格を取り上げ、DM-V3とVRX3のコスパを比較してみる。
14〜20インチ代表サイズの価格比較一覧
ここでは、14インチから20インチまでの主要サイズをピックアップし、SUV〜乗用車まで幅広くカバーした価格帯を一覧化。
購入時期やショップによって変動するが、おおよその相場感として参考にしてほしい。
サイズ | ブリザック DM-V3(実売価格例・1本) | ブリザック VRX3(実売価格例・1本) | 備考 |
---|---|---|---|
175/65R14 | ― | 約 ¥13,800〜¥15,200 | 小型SUV・コンパクトカーサイズ |
195/65R15 | ― | 約 ¥15,450(価格.com最安) | 標準車・軽SUVクラス |
215/65R16 | 約 ¥17,800〜¥20,000 | 約 ¥16,800〜¥18,000 | RAV4・ヴェゼル・CXシリーズなど |
225/65R17 | 約 ¥18,870〜¥21,400 | ― | ハリアー・CR-V・CX-8など |
235/55R18 | 約 ¥23,000〜¥26,000 | 約 ¥21,000〜¥24,000 | NX・RAV4ハイブリッド・エクストレイルなど |
245/45R19 | 約 ¥31,000〜¥35,000 | 約 ¥28,000〜¥32,000 | 高級SUV・クロスオーバー向け |
275/50R20 | 約 ¥50,000〜¥53,000 | ― | ランドクルーザー・プラド・CX-90など |
※上記は2025年10月時点の参考価格(出典:価格.com・楽天市場・Amazon)。
販売店・在庫・シーズンにより価格変動あり。
価格帯まとめ
- VRX3:14〜18インチ中心で価格帯が広く、都市型SUV・乗用兼用ユーザーに最適。
- DM-V3:17インチ以上がメイン。価格は高めだが、氷上性能・寿命を考えれば納得の設定。
- 傾向:同サイズ比較ではVRX3がやや安く、DM-V3は1本あたり2,000〜4,000円ほど高い。
結論としては、総合コスパではVRX3、トータル性能と長寿命ではDM-V3。
車格や使用環境に合わせて“どこで価値を取るか”を決めよう。
どんなSUVにおすすめ?利用シーン別で選ぶなら
同じブリザックでも、DM-V3とVRX3は“どんなSUVで、どんな道を走るか”で選び方が変わる。
ここでは、車種タイプ別・使用環境別にベストマッチを整理していこう。
街乗り・通勤メインなら「VRX3」
もしあなたの走行シーンが「冬の都市部」「週末のドライブ」中心なら、VRX3が間違いなく快適。
スタッドレスらしからぬ静粛性と直進安定性で、乾いた路面でもストレスがない。
RAV4・ヴェゼル・ハリアー・CX-5など、
街乗りSUVにピッタリのバランス型タイヤだ。
軽快でしなやかなフィーリング、燃費の悪化も少なく、“冬でも普段通り走れるスタッドレス”を求める人にはこれ。
雪道・山間部メインなら「DM-V3」
反対に、降雪地帯や峠道、スキー・アウトドアなどのシーンでは、DM-V3が本領発揮。
重量級SUVでも安定した制動力と発進力を発揮し、深雪や坂道でも力強く進める。
ランドクルーザー・プラド・CX-8・フォレスター・アウトランダーなど、車重があるSUVと相性抜群だ。
雪国や高速移動が多いユーザーなら、「効き」「安定」「寿命」すべてを兼ね備えたDM-V3一択。
比較まとめ|用途別おすすめ早見表
使用シーン | おすすめモデル | 理由 |
---|---|---|
都市部・通勤メイン | VRX3 | 静粛・快適・低燃費。雪が少ない地域に◎ |
雪国・峠道・アウトドア | DM-V3 | 氷上・雪上性能が圧倒的。重量車でも安定 |
ファミリーSUV(CX-5・ハリアー) | VRX3 | 街乗り重視+静粛性を確保 |
大型SUV(プラド・CX-8・ランドクルーザー) | DM-V3 | トルクに耐える剛性とロングライフ性能 |
つまり、「走る道で選ぶ」=失敗しない選び方。
どちらもブリザックブランドらしく、氷上性能に妥協のない完成度だが、求める“冬の走り”によって最適解は変わる。
よくある質問(Q&A)
Q. DM-V3とVRX3の違いは?
A. DM-V3はSUV専用設計で、氷上トラクションや耐久性を重視。
一方のVRX3は乗用車〜SUV兼用で、静粛性や乗り心地に優れた快適志向モデルです。
Q. どっちが止まる?
A. 氷上制動ではどちらもトップクラスですが、重量級SUVならDM-V3がより安定している。
軽量SUVや街乗り中心ならVRX3の方が滑らかで扱いやすい止まり方だ。
Q. 雪道に強いのはどっち?
A. 深雪・登坂・山道ではDM-V3が圧倒的。
大型ブロックが雪を掻き出してトラクションを確保できる。
VRX3は圧雪や除雪済み路面での直進安定性を得意としている。
Q. 寿命が長いのはどっち?
A. DM-V3の方が摩耗に強く長持ち。
SUVの重量を想定したコンパウンドで3〜4シーズン安定した性能を維持する。
VRX3は柔らかめで減りやすいものの、静粛性と快適性で優れているんだ。
Q. どんな人におすすめ?
A. 雪国や山間部中心ならDM-V3、都市部や通勤メインならVRX3。
「どんな道を走るか」で最適解が変わる。
まとめ|DM-V3とVRX3の違いを一言で!
ブリザックDM-V3とVRX3──どちらも氷上性能トップクラスの日本代表スタッドレス。
けれども、その性格はまるで違う。ひとことで言えば、
- DM-V3:「SUVの力を引き出す、タフで頼れる相棒」
- VRX3:「街でも雪道でも、快適に止まれる万能型」
DM-V3は氷上トラクションと登坂性能、寿命の長さで勝り、重量級SUVでも路面を掴んで離さない。
VRX3は静粛性・燃費・扱いやすさで秀でており、街乗り中心でもストレスフリーに使える。
つまり──
- 雪国・山道を走るならDM-V3。
- 都市部・普段使い中心ならVRX3。
同じ「止まる」でも、その止まり方が違う。
あなたのSUVがどんな冬を走るかで、答えは変わる。
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