ジオランダー X-AT(G016)は、「オンロードでの使いやすさ」を最優先に設計されたSUV向けオールテレーンタイヤだ。
街乗りや高速道路を主軸にしつつ、未舗装路やアウトドアシーンまで無理なく対応できる走行バランスを想定している。
一方で、本格的なオフロード性能や悪路走破性を最優先するタイヤではなく、ハードな走りを求めるユーザー向けのモデルではない。
日常走行の安定感とA/Tらしい対応力を両立したい人にとっては有力な選択肢だが、過酷な悪路走行を重視するなら別の選択肢も検討すべき一本といえる。
基本スペック
ジオランダー X-AT(G016)は、SUVの日常使用を前提にしながら、未舗装路にも対応できる実用性を組み込んだオールテレーンタイヤだ。
オンロードでの安定感をベースに、A/Tらしいトラクションと外観を両立する設計が特徴となっている。
- タイヤタイプ:オールテレーン(A/T)
- 想定車種:SUV/クロスオーバーSUV/ピックアップトラック
- 使用シーン:街乗り・高速道路・雨天走行・軽度な未舗装路
- 設計思想:オンロード実用性を軸に、オフロード対応力とデザイン性を付加
- 位置づけ:ライフスタイル志向のSUVオンロード重視A/T
一般的なA/Tタイヤに見られるロードノイズや挙動の粗さを抑えつつ、ブロックパターンによる走破性と存在感を確保している点が、X-ATの基本的なキャラクターだ。
本格オフロード用ではなく、日常域の使いやすさを優先したA/Tとして設計されている。
簡易性能チャート
ジオランダー X-AT(G016)の性能は、オンロードでの実用性を軸にしながら、A/Tらしい対応力をどこまで自然に組み込めているか、という視点で整理できる。
ここでは数値や星評価を使わず、使い方のイメージが掴めるように各性能の傾向をまとめる。
-
ドライ性能
日常速度域から高速道路まで、直進安定性を重視した挙動。
ブロックタイヤ特有の不安定さは抑えられており、舗装路中心の使用でも違和感が出にくい。 -
ウェット性能
雨天時でも挙動が急変しにくく、SUVでの安心感を意識した特性。
スポーツ寄りではないが、日常域で不安を感じにくいバランスにまとめられている。 -
静粛性
A/Tとしては控えめなロードノイズ。
コンフォート系サマータイヤほどの静かさはないが、長時間走行でも気になりにくいレベルに抑えられている。 -
乗り心地
ブロック剛性を活かしたしっかり感のある乗り味。
フワつきは少なく、SUVの車重を受け止める安定感がある。 -
未舗装路対応
砂利道・土路・軽度な悪路でのトラクションを確保。
本格オフロード向けではないが、アウトドア用途では十分な対応力を持つ。 -
高速安定性
高速巡航時の直進性を重視した設計。
ブロックタイヤでありながら、速度が上がっても挙動が落ち着きやすい。
総合すると、ジオランダー X-AT(G016)は「オンロードで普通に使えること」を前提に、
必要な分だけオフロード対応力とキャラクター性を加えたA/Tタイヤといえる。
日常使いを犠牲にしないA/Tを探しているユーザーに向いた性能バランスだ。
公式データ
ここでは、ジオランダー X-AT(G016)について、メーカー公式情報および公表資料から確認できる事実情報のみを整理する。体感評価や主観的な性能判断は含めていない。
- カテゴリー:オールテレーンタイヤ(A/T)
- シリーズ名:ジオランダー X-AT
- 型式:G016
- 発売年:2020年
- 想定用途:オンロード走行を主軸としたSUV・ピックアップ向け
- 対応路面:舗装路/未舗装路(ダート・砂利道など)
- トレッドパターン:左右非対称
- 回転方向:非方向性(INSIDE/OUTSIDE指定あり)
- 構造:ラジアル構造
- 規格:チューブレス
- 対応車種:SUV/ピックアップトラック など
- サイズ展開:SUV・大型車向けサイズを中心に展開
公式情報から分かる通り、ジオランダー X-AT(G016)は、オンロードでの実用性を重視しつつ、A/Tタイヤとして未舗装路にも対応することを前提に設計されたモデルだ。M/Tのような悪路特化ではなく、日常使用との両立を想定したポジションに置かれている。
開発ストーリー
ジオランダー X-AT(G016)は、従来のオールテレーンタイヤに対するユーザーの不満を出発点として開発されたモデルだ。ヨコハマが直面していた課題は明確で、「見た目はA/Tらしいが、実際にはオンロードでうるさい・重い・扱いづらい」というギャップをどう埋めるか、という点にあった。
従来のA/Tタイヤは、悪路性能を優先するあまり、舗装路ではロードノイズや転がり抵抗、直進安定性の面で妥協を強いられるケースが多かった。一方で、SUVの使用実態を見ると、日常の大半は舗装路走行であり、悪路は「行けたら安心」という保険的な位置づけに変化している。ヨコハマはこのズレに着目し、A/Tの再定義を試みた。
X-AT(G016)の開発思想は、「A/Tでありながら、オンロードで違和感なく使えること」を前提に置くことだ。単にブロックを小さくするのではなく、ブロック形状・配置・剛性バランスを細かく最適化し、舗装路ではノイズやふらつきを抑え、未舗装路では最低限のトラクションを確保するという両立を狙っている。
また、見た目のデザインも開発の重要な要素だった。X-ATは、オンロード寄りの設計でありながら、A/Tらしいワイルドな外観を強く意識している。サイドブロックのデザインやトレッドの立体感は、機能性だけでなく「SUVに履かせたときの満足感」を高めることを目的に設計された。
その結果、ジオランダー X-AT(G016)は、M/Tほどの悪路特化ではなく、H/Tほど舗装路専用でもない、「日常使いを主軸にしつつ、未舗装路にも安心して踏み込めるA/T」という明確な立ち位置を確立した。オンロード重視のSUVユーザーが、見た目と実用性の両方を妥協せずに選べるモデルとして、このタイヤは誕生している。
他社比較|A/T(オールテレーン)系で見るジオランダー X-ATの立ち位置
オールテレーン(A/T)タイヤでも、設計思想や優先している性能はモデルごとに大きく異なる。
ここでは代表的な方向性に分けて、ジオランダー X-AT(G016)の立ち位置を整理する。
① オンロード重視A/T(=ジオランダー X-ATの立ち位置)
舗装路での扱いやすさ・高速安定性をベースにしつつ、未舗装路にも対応できるバランスを重視したタイプ。
日常の街乗りから高速道路、軽度なダートまで対応できる実用性が特徴だ。
X-ATはこの方向性に属し、過度な悪路性能を求めないユーザーにとって“日常の安心感”と“A/Tらしい対応力”を両立した立ち位置となっている。
② 悪路対応寄りA/T
未舗装路・泥濘路など、舗装条件から一歩踏み出す走破性を重視したタイプ。
ブロック剛性やトラクション性を高めることで、軽度〜中度悪路での性能が向上する。
このタイプは舗装路中心のA/Tよりもオフロード性能が高い反面、ロードノイズや転がり抵抗が増えがちだ。
X-ATと比較すると“実用性重視か、悪路性能重視か”という方向性の差が明確になる。
③ SUV・クロスオーバー向けオンロード系
SUVやクロスオーバー向けに舗装路での快適性・静粛性・燃費性能を最優先したタイヤ。
オールテレーン特有の見た目や走破力よりも、日常域の走りの質を重視するユーザー向けだ。
X-ATはこのカテゴリーほど静粛性や快適性に振っていないが、オフロード寄りの性能も持たせている点で差別化されている。
オンロード系SUVタイヤとA/Tの中間という立ち位置が、X-ATの特長でもある。
ジオランダー X-AT(G016)は、これら3つの方向性のうち、
「舗装路を主軸にしつつ、必要十分なA/T対応力を持つ」という立ち位置にある。
極端な性能に偏らず、日常からレジャーまで無理なく使えるA/Tとして整理できる。
メリット・デメリット
ジオランダー X-AT(G016)は、すべての性能を高水準で満たすことを狙ったタイヤではない。
設計思想に基づいて「伸ばしている点」と「割り切っている点」が明確に分かれている。
ここでは、その変わらない長所と短所を整理する。
メリット
-
オンロードを主軸にしたA/Tバランス設計
舗装路での直進安定性や扱いやすさを重視しつつ、未舗装路にも対応できる構造。
日常走行から高速道路まで違和感が出にくい。 -
見た目と実用性を両立したトレッドデザイン
A/Tらしいタフな外観を持ちながら、過度なブロック剛性を避けている。
デザイン性と日常の使いやすさを両立した仕上がり。 -
SUV・ピックアップとの親和性が高い
車重のあるSUVでも挙動が落ち着きやすく、街乗り・高速巡航で不安を感じにくい。
オンロード主体のSUV用途と相性が良い。 -
軽度なオフロードでの対応力
砂利道や未舗装路など、レジャー用途レベルの路面であれば無理なく走行できる。
「A/Tとして最低限ほしい対応力」をしっかり確保している。
デメリット
-
本格的な悪路走破を最優先するタイヤではない
泥濘路や岩場などを頻繁に走る用途では、よりオフロード寄りのモデルが候補になる。 -
オンロード専用タイヤほどの静粛性は持たない
日常使いでは許容範囲だが、完全なコンフォートタイヤと比べるとロードノイズは出やすい。 -
燃費性能を最優先した設計ではない
トレッド構造の特性上、エコタイヤのような低転がり抵抗を重視する人には向かない。
ジオランダー X-AT(G016)は、オンロード主体で使いながら、
必要に応じてA/Tらしい対応力も求める人にとっては合理的な選択肢だが、
悪路走破や快適性を最優先する場合は、別の思想を持つモデルも検討すべき一本といえる。
サイズ展開
各車種で装着されることが多い主要サイズを中心に、代表的なラインナップをまとめた。
- 17インチ:SUV・クロスオーバーで装着例の多いサイズ帯
- 18インチ:ミドル〜大型SUVで主力となるサイズ帯
- 19インチ:高出力SUV・レジャー用途でも安定感を発揮するサイズ帯
- 20インチ以上:プレミアムSUV・迫力ある外観を重視する層向け
※ ここでは流通量が多い主要サイズのみを抜粋している。全サイズ一覧ではなく、代表的なラインナップをまとめた形だ。
車種別適合
このタイヤは、車格・用途・走行シーンとの相性で評価すべきモデルだ。
ここでは代表的な車種タイプ別に、ジオランダー X-AT(G016)が向いている使い方を整理する。
-
SUV(オンロード主体)
街乗りから高速道路まで、舗装路中心で走行しつつ、見た目や安定感も重視したい使い方に向く。 -
SUV(アウトドア併用)
キャンプ場や未舗装路へのアクセスなど、ライトなオフロードを含む使い方と相性が良い。 -
クロスオーバーSUV
日常走行の快適性を保ちつつ、タイヤの存在感やタフな雰囲気を重視する用途に適する。 -
ピックアップ/大型SUV
車重があり、直進安定性や耐久性を重視する使い方で性能を活かしやすい。
※ グレードによって純正サイズが異なる場合があるが、ここでは代表的な車格・用途を基準に整理している。
まとめ
このタイヤは、「オンロードの安定感」と「ライトオフロード対応」を両立した【SUVオンロード寄りA/Tタイヤ】だ。
- 日常走行をメインにしつつ、アウトドア用途も楽しみたい人
- SUVらしい見た目と直進安定性を重視したい人
- ゴツさは欲しいが、極端なオフロード性能までは求めない人
一方で、深い泥濘路や岩場など、本格的なオフロード走行を最優先する人にとっては、よりM/T寄りのタイヤが候補になる。
舗装路での使いやすさを軸に、アウトドアシーンまで無理なくカバーしたいなら、有力な選択肢になる一本といえる。
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