【結論】チントゥラート オールシーズン SF3(PIRELLI CINTURATO ALL SEASON SF3)は、ドイツの独立認証機関DEKRAの複合制動テストで欧州勢5銘柄のトップに立った、ピレリの現行オールシーズンタイヤだ。夏タイヤに近い走行性能を保ったまま、雪上の安全域までカバーする一本と言っていい。
全サイズが欧州タイヤラベリングのウェットグリップ最高評価「A」を獲得しており、TÜV SÜDの性能認証も取得済み。日本ではピレリジャパンが2024年7月に導入し、みんカラには先代SF2からの乗り換え組による実装着レビューも集まりつつある。
この名鑑では、先代SF2からの技術的な進化、DEKRAの実データに基づく競合2社との違い、そして日本での実売サイズと価格帯まで、SF3の実力を一つずつ丁寧に解き明かしていく。
- なぜ今、チントゥラート オールシーズン SF3が”欧州仕込みの制動力”で勝負するのか
- チントゥラート オールシーズン SF3の技術に見る、ドライ性能と雪上安全性の両立方法
- チントゥラート オールシーズン SF3の性能を数値化する|5項目でみる強みと個性
- SF3とブリヂストン ターンザ オールシーズン6・ミシュラン クロスクライメート2との決定的な違い
- ⚠️ピレリ チントゥラート オールシーズン SF3のメリット・デメリット|DEKRA実証の制動力は強いが、積雪地帯には不向き
- SF3は本当に”欧州仕込みの制動力”を実感できるのか?実走レビューと専門家データで検証
- チントゥラート オールシーズン SF3がおすすめな人と最適な車種
- チントゥラート オールシーズン SF3のスペックとラベリング|サイズ展開と価格帯を総まとめ
- まとめ:数値で殻を破りにいった、欧州発のオールシーズン
- 「低温ウェットの新基準」を、旧型SF2・欧州系ライバルで検証する
なぜ今、チントゥラート オールシーズン SF3が”欧州仕込みの制動力”で勝負するのか

SF3は、2024年2月にピレリが欧州で発表し、同年7月に日本上陸を果たしたチントゥラート オールシーズンシリーズの最新モデルだ。
都市部の小型・中型車ユーザーが一年を通して安心して走れることを目指し、バーチャル設計技術を駆使して開発された。
- シリーズの系譜:チントゥラート オールシーズンは、オールシーズンプラスから2021年の「SF2」を経て、2024年に「SF3」へと刷新された現行モデルだ。
- 設計思想の転換:SF2から受け継いだ3Dサイプ入りアダプティブトレッドテクノロジーをベースに、溝幅を拡大し方向性を強めたトレッドパターンへ刷新。ウェットと雪上、両方の性能を底上げしている。
- 主戦場の広さ:小型車からミドルクラスのセダン・クロスオーバーSUVまでを対象とし、日本国内だけで35サイズという幅広いラインナップを揃える。
- 現在地:日本上陸から丸2年が経過した2026年時点でも、SF3を上回る実績を持つ後継モデルの噂は出ていない。むしろDEKRAの複合制動テストで首位という”数字で語れる実績”を得たことで、ピレリのオールシーズン戦略における存在感はここへきて増している。
チントゥラート オールシーズン SF3の技術に見る、ドライ性能と雪上安全性の両立方法

SF3が結果を出せている理由を分解すると、トレッド設計・サイプ構造・コンパウンドという3つの要素に行き着く。
単体の目玉技術で押し切るのではなく、この3つが噛み合って初めて、DEKRAの制動データにつながっている。
- ①アダプティブトレッドテクノロジー+3Dサイプ(=路面状況とタイヤの摩耗度に応じてサイプの形状・開閉が変わる設計):先代SF2から受け継いだ技術で、摩耗が進むとサイプの形状が直線からジグザグへと変化し、雪を捉える表面積を増やす。サイプ自体もタイヤにかかるエネルギー量に応じて開閉し、路面状況に合わせて最適な形状へ切り替わる。
- ②溝幅を拡大した新トレッドパターン:先代比で溝を幅広く取り、より方向性を意識したパターンへ刷新。ウェット性能と雪上性能の底上げに直結している。
- ③新配合ポリマー+新モールドプロファイル:コンパウンドと型そのものを刷新し、全サイズで欧州タイヤラベリングのウェットグリップ最高評価「A」を実現。ノイズも「A」または「B」の評価を得ている。
チントゥラート オールシーズン SF3の性能を数値化する|5項目でみる強みと個性

SF3の場合、DEKRAやTÜV SÜDといった第三者機関の実データが揃っているぶん、スコア化の根拠は他モデルより明快だ。
とはいえ編集部が独自に計測した数値ではなく、これら公開データと専門メディアの試乗評価を横断的に読み解いた相対評価である点は押さえておきたい。
| 評価項目 | スコア | 根拠コメント |
| ドライ性能 | 4.0 / 5.0 | DEKRAの複合制動テストで5銘柄中最短の制動距離合計(72.8m)を記録しており、夏タイヤに近い高いブレーキ性能を持つ。 |
| ウェット性能 | 4.5 / 5.0 | 全サイズが欧州タイヤラベリングのウェットグリップ最高評価「A」を取得。専門メディアの試乗でも高いウェットグリップが確認されている。 |
| 雪上性能 | 3.5 / 5.0 | 3PMSF(スリーピークマウンテンスノーフレーク)を取得し、冬用タイヤ規制時でもチェーン装着不要。ただし本格的な積雪地帯での使用は想定外。 |
| 静粛性 | 3.5 / 5.0 | 欧州ラベルのノイズ評価は「A」または「B」。刷新されたパターンでロードノイズを抑えているが、静粛性特化モデルほどの突出感はない。 |
| 耐久性・コスパ | 3.5 / 5.0 | 新モールドプロファイルで摩耗の均一化を図っており、国内の実売価格も同カテゴリーの中で手が届きやすい水準にある。 |
- 最大の強み:ドライ・ウェット双方でDEKRA複合制動テスト首位という結果。夏タイヤに近い制動力を、オールシーズンタイヤのまま実現している点が光る。
- 意外な健闘:ウェット性能の4.5。全サイズ共通でウェットグリップ最高評価「A」を取得しており、雨天時の安心感は数値以上に高い。
- 割り切っている点:雪上性能は3PMSF認証止まりで、本格的な積雪地帯までは守備範囲に入らない。
SF3とブリヂストン ターンザ オールシーズン6・ミシュラン クロスクライメート2との決定的な違い

SF3の比較先としてまず名前が挙がるのは、同じDEKRAテストで上位に食い込んだブリヂストン ターンザ オールシーズン6と、”夏タイヤ級”の看板を掲げるミシュラン クロスクライメート2だ。
三者とも欧州発のオールシーズンだが、何を根拠に性能を語っているかという点では立ち位置がはっきり分かれる。
| 比較項目 | SF3 | ターンザ オールシーズン6 | クロスクライメート2 |
| 発売時期 | 2024年(欧州2月・日本7月) | 欧州先行、日本では2024年に高インチ帯の取り扱いを拡大 | 2021年10月(日本) |
| ラベリング | 全サイズウェットグリップA、ノイズA〜B、3PMSF | ENLITEN基盤技術によるウェット性能・耐摩耗性能の向上を訴求 | 3PMSF+M+S、旧モデル比でウェット制動6%・雪上制動7%向上 |
| 最大の強み | DEKRA複合制動テストで5銘柄中最短の制動距離 | EV時代を見据えたENLITENによる快適性と安全性の高次元バランス | “夏タイヤ級のハンドリング”を掲げる先駆モデルとしての実績の長さ |
| 性格 | 実データ主義の堅実派 | 欧州プレミアムカー向けの快適性重視ブランド | ドライ・ウェット・雪上を高水準でまとめた万能型 |
| 対象車種 | 小型車・ミドルセダン・クロスオーバーSUV(15〜19インチ) | 乗用車・オンロードSUV(高インチの輸入車中心) | コンパクト〜ミドルセダン・ミドルSUV |
DEKRAの同一テストでは、SF3が制動距離合計72.8mでトップ、ターンザ オールシーズン6が73.1mで僅差の2位につけており、両者の実力差はごくわずかだ。
- 実データに基づく制動力で選ぶならSF3。感覚的な訴求ではなく、独立機関の数値で裏付けられた安心感を優先したい人に向く。
- 欧州プレミアムの乗り味と快適性で選ぶならターンザ オールシーズン6。EV時代を見据えたENLITEN基盤で、快適性を軸に選びたい人に合う。
- 実績の蓄積と夏タイヤ級のハンドリングで選ぶならクロスクライメート2。発売から日が浅いSF3より、長く市場で評価されてきた安心感を重視する人向け。
ただし、欧州プレミアムとしての快適性のブランドイメージや、国内での市場実績の厚みという土俵で戦うなら、ターンザ オールシーズン6やクロスクライメート2の方が一日の長がある。
⚠️ピレリ チントゥラート オールシーズン SF3のメリット・デメリット|DEKRA実証の制動力は強いが、積雪地帯には不向き

SF3が狙っているのは、”全部盛り”の万能タイヤではなく、都市部の年間走行という具体的な使い方に照準を絞った性能設計だ。
だからこそ、DEKRAの実データで裏付けられる強みと、あえて手を出していない領域がはっきり分かれている。
⭕メリット:独立機関のテストで裏付けられた制動力
DEKRAの複合制動テストで欧州勢5銘柄中最短の制動距離を記録し、全サイズが欧州ラベルのウェットグリップ最高評価「A」を獲得している。感覚的な”効きが良さそう”ではなく、第三者機関の数値で語れる制動性能こそがSF3最大の武器だ。
TÜV SÜDの性能認証も取得済みで、複数の独立機関から評価を得ている点も安心材料になる。
❌デメリット:積雪地帯への対応力とブランド浸透度という2つの物足りなさ
①本格的な積雪・凍結路への対応力
3PMSF認証は取得しているものの、あくまで都市部の急な降雪を想定した設計であり、実際のみんカラレビューでも湿雪の路面でやや扱いにくさを感じたという声がある。
豪雪地帯での通年使用には、スタッドレスタイヤの携行も検討したい。
②国内でのブランド・実績の浸透度
クロスクライメート2のような”夏タイヤ級”という強いキャッチコピーの浸透度や、乗り換え実績の蓄積という点では、発売から日が浅い分まだ情報量が限られる。
第三者機関の数値という裏付けそのものに価値を感じるなら、SF3は有力な候補になる。ただし豪雪地帯での通年使用や、長年の実績で判断したい場合は、他モデルとも見比べておいた方が安心だ。
SF3は本当に”欧州仕込みの制動力”を実感できるのか?実走レビューと専門家データで検証

SF3については、DEKRAのような数値データだけでなく、実際に装着した人の声や試乗メディアの評価も揃ってきている。
この2つを突き合わせると、”数字だけの強さ”なのか”体感でも裏付けられた強さ”なのかが見えてくる。
ユーザーの声|先代からの乗り換え組が語る手応え
「先行して発売されていたヨーロッパでの評価も悪くないので購入しました」
みんカラのレビューには、国内販売開始とほぼ同時期にSF3を導入し、欧州での評価の高さを購入の決め手にしたという声がある。
編集部の見立て:発売直後から欧州での評価を根拠に選ぶユーザーが一定数いる点は、DEKRAテストなどの実データが国内でも認知され始めている証拠と言えそうだ。
「シャーベット系は少々苦手かもしれない」
一方でみんカラには、湿雪の多い北陸地方を走行した際、低速直線でわずかな横ズレを感じたという辛口の声も寄せられている。
編集部の見立て:3PMSF認証はあくまで急な降雪への対応が主眼であり、シャーベット状の路面のようなコンディションでは過信は禁物という実感が滲む評価だ。
専門家の評|試乗メディアが見たドライ・ウェットとスノーの両立力
Motor Fan(GENROQ 2024年12月号転載)が伝えた北海道試乗
自動車情報メディア「Motor Fan」が北海道で行った試乗記事では、全サイズが取得した欧州ラベルのウェットグリップ最高評価「A」の実力が、雪上でのトラクションのかかり方やブレーキング性能にも表れているとレポートされている。
編集部の見立て:雪上を想定した試乗という条件を踏まえても、ドライ・ウェットに近い感覚を保ったままスノー性能を確認できている点は、DEKRAの数値だけでは伝わらない説得力がある。
チントゥラート オールシーズン SF3がおすすめな人と最適な車種

夏冬の履き替えをやめて一本で済ませたいなら、まずDEKRAの実データに目を通してから選んでほしい——SF3が候補に挙がるのは、そういう判断軸を持つドライバーだ。
逆に、本格的な積雪地帯で通年使う人には、スタッドレスタイヤか、より雪上性能に振ったモデルの方が満足度は高い。
- 街乗り+高速移動が中心のコンパクト・セダンオーナー:フォルクスワーゲン ゴルフやアウディ A3など、16インチ帯の輸入車ユーザーとの相性がよい。
- 実データで裏付けられた安心感を求める人:感覚的な訴求よりも、DEKRAやTÜV SÜDといった独立機関のテスト結果を判断材料にしたい層に向く。
- この用途なら他モデルが向く人:豪雪地帯での通年使用や雪上性能を最優先したいなら、スタッドレスタイヤやより雪上寄りのオールシーズンモデルの方が満足度は高い。
| タイヤサイズ | 代表車種 | 価格目安(1本・税込) | このサイズを選ぶ理由 |
| 205/55R16 94V XL | フォルクスワーゲン ゴルフ、アウディ A3などのコンパクト〜ミドルクラス | 33,400円前後 | 16インチ帯の定番サイズで、正規輸入車のインチダウン需要も受け止める |
| 225/50R17 98W XL | BMW 3シリーズ、レクサス ISなどのミドルクラスセダン | 22,110円前後 | DEKRAテストと近いサイズ帯で、実勢価格も確認しやすい |
※価格は2026年9月時点でTIREHOOD・オートバックス等の複数販売店にて確認した税込・1本価格の目安(タイヤ本体のみ、工賃・送料別)。在庫状況や販売店によって変動する。装着予定のサイズが決まったら、同一規格で最新価格を確認したい。
チントゥラート オールシーズン SF3のスペックとラベリング|サイズ展開と価格帯を総まとめ

| メーカー | ピレリ(Pirelli) |
| シリーズ | チントゥラート(Cinturato) |
| モデル | オールシーズン SF3 |
| 発売日 | 欧州2024年2月21日発表、日本は2024年7月17日発売 |
| 対象 | 小型車・ミドルセダン・クロスオーバーSUV |
| サイズ展開 | 205/55R16〜245/40R19まで、日本国内で35サイズ(15〜19インチ) |
| ラベリング | 欧州タイヤラベリングでウェットグリップ全サイズ「A」、ノイズ「A」〜「B」を取得。3PMSF(スリーピークマウンテンスノーフレーク)も取得済み |
| 価格帯 | 確認できた実売例で1本20,000円台前半〜40,000円弱(サイズにより変動) |
※価格は2026年9月時点の税込・1本価格の目安。購入時は装着予定サイズの最新価格・在庫を販売店で確認してほしい。
まとめ:数値で殻を破りにいった、欧州発のオールシーズン

ピレリ チントゥラート オールシーズン SF3(PIRELLI CINTURATO ALL SEASON SF3)は、独立認証機関DEKRAの複合制動テストで欧州勢のトップに立った実データを武器に、都市部の一年を任せられるオールシーズンタイヤに仕上がっている。特に、感覚ではなく数字で裏付けを取りたい人には、SF3の判断材料としての強さがそのまま効いてくる。
一方で、豪雪地帯での通年使用や、ブランドの市場実績の厚みを重視する人には、スタッドレスタイヤやターンザ オールシーズン6、クロスクライメート2の方が向いている場面もあるだろう。
感覚ではなく数字で殻を破りにいった潔さが、SF3という選択肢の一番の個性だ。
「低温ウェットの新基準」を、旧型SF2・欧州系ライバルで検証する
本文で、SF3が低温ウェットを新基準へ引き上げた進化を遂げてると分かった。ここでは旧型SF2との世代差、ピレリの中での立ち位置、そして同じ欧州系オールシーズンのライバルを見ていく。
旧型SF2との世代差を確認する
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