ナンカン AW-6は、コスパと実用性を重視したエントリークラスのオールシーズンタイヤだ。日常域で必要なドライ・雨天性能を備えつつ、都市部の薄い雪にも対応できる設計が特徴。派手な性能ではないものの、普段使いを中心としたユーザーが“これ一本で一年を走り切る”ための機能をしっかり押さえている。冬の備えを確保しつつ、タイヤ選びの費用を抑えたいドライバーに向くモデルだ。
基本スペック(概要)
AW-6は、日常走行の実用性と軽雪対応を両立したエントリークラスのオールシーズンタイヤ。価格を抑えつつ必要性能をまとめた設計が特徴だ。
- 発売年:2022年
- パターンタイプ:左右非対称パターン
- 速度記号:H・V(代表サイズ)
- ロードインデックス:88〜102(代表範囲)
- 適合車種:コンパクトカー、セダン、ハイブリッド車、クロスオーバーSUV
簡易性能チャート
AW-6の性能傾向を、トレッド構造・コンパウンド特性・パターン設計から専門的に評価した。
- ドライ:中〜やや強め。剛性のあるセンターリブにより、常温域での接地と安定が取りやすい。
- ウェット:中。細かいサイプと密度の高いブロックが排水性を支え、日常域では安心感がある。
- 静粛性:中。ブロック配置が細かく、音は抑え気味だが、高速域ではノイズが出やすい傾向。
- 乗り心地:やや硬め。エントリークラスとしてはしっかりした剛性で、舗装の継ぎ目では硬さが出る。
- 雪(軽雪):最低限〜軽雪。スノーサイプにより都市部の薄い雪なら対応できる設計。
- 寿命:中〜やや長持ち。硬めの配合を採用しており、摩耗が急激に進みにくい。
※ 本チャートはメーカー公式値ではなく、タイヤの構造・コンパウンド特性から導いた専門的な傾向評価です。
公式データ
AW-6は、エントリー帯ながら3PMSF対応の全天候タイヤとして設計され、都市部ユーザーが求める基本性能を備えている。ここではメーカー公表の“変わらない事実”のみをまとめる。
- 対応規格:3PMSF(スリーピーク・マウンテン・スノーフレーク)、M+S
- EUラベル:ウェット性能:C前後/転がり抵抗:D〜E/騒音:クラス2(代表レンジ)
- パターン構造:左右非対称パターン(細かなブロック配置と排水特化デザイン)
- コンパウンド:常温域での摩耗安定性を重視したエントリー向けラバー(軽雪対応の柔軟性あり)
- 発売年:2022年
開発ストーリー
AW-6の開発思想は、「日常走行を中心とするユーザーが、コスパを抑えながら年間を通して安心して走れる1本を作る」ことにある。エントリー帯でありながら3PMSFに対応し、都市部の薄い雪や雨天での安定性を確保するため、細かなブロック配置と柔軟性を持つラバーを採用。耐摩耗性を重視した設計により交換サイクルを延ばしやすく、普段使いの経済性と実用性を両立する全天候タイヤとして仕上げられている。
他社比較|3タイプで見るAW-6の立ち位置
オールシーズンタイヤは、静粛性・雨性能・高速安定性・雪対応の強みがモデルごとに大きく異なる。ここでは静粛型・バランス型・高速安定型の3カテゴリで、AW-6の立ち位置を整理する。
① 静粛型:ヨコハマ ブルーアース4S AW21
AW21は静粛性と乗り心地を重視した国産モデルで、都市部の日常走行ではクラス随一の快適性を持つ。AW-6は価格を抑えつつ必要性能をまとめた実用寄りで、静粛性や快適性はAW21に劣るが、コスパで選ぶなら大きく優位となる。
② バランス型:ピレリ チントゥラート オールシーズン SF2
SF2は静粛性・雨性能・ドライの質感を高次元でまとめた万能型。AW-6は剛性や応答性では劣るものの、日常域での扱いやすさと価格の軽さが魅力。性能を求めるならSF2、実用性と価格重視ならAW-6という棲み分けがはっきりしている。
③ 高速安定型:ミシュラン クロスクライメート 3
高速安定性と全天候性能の高さが特徴のCC3は、剛性感と直進性でAW-6を大きく上回る。一方でAW-6は日常域での軽快さと価格の安さが強み。高速を多用しないユーザーであれば、AW-6のほうが費用対効果が高い場面も多い。
メリット・デメリット
メリット
- 細かなブロック配置により、日常速度域での扱いやすい接地感が得られる。
- 柔軟性のあるコンパウンドを採用し、都市部の薄い雪に対応できるオールシーズン性能を確保。
- 耐摩耗寄りの設計で、エントリークラスとしては寿命が安定しやすい。
- 軽量な構造により、取り回しが軽く、普段使いで違和感が出にくい。
- コストパフォーマンスが高いため、年間通して手頃に運用できる。
デメリット
- 剛性が控えめなため、ドライでの応答性や安定感は中クラスにとどまる。
- 静粛性は平均的で、高速域ではロードノイズが出やすい。
- 軽雪性能は最低限で、積雪路や低温域では上位モデルに劣る。
- 高速安定性は欧州系モデル(CC3など)と比べると明確に弱い。
サイズ展開(主要サイズ)
AW-6は、コンパクトカーからセダン、クロスオーバーSUVまで幅広い車種に対応するエントリークラスのオールシーズンタイヤ。ここでは人気が高く汎用性のある代表サイズを掲載する。
- 185/65R15 88H(コンパクトカー向け)
- 195/65R15 91H(ハイブリッド・セダンの定番サイズ)
- 205/55R16 91V(ツーリング・セダンの代表サイズ)
- 215/55R17 98V(ミドルクラス向けの主力サイズ)
- 225/50R18 99V(クロスオーバーSUV・大型ハッチバック向け)
※ 全サイズはメーカー公式ページをご確認ください。
車種別適合(代表純正サイズ)
AW-6は、普段使いを中心とするコンパクトカーやハイブリッド車、ミドルクラスのセダン・SUVに適したオールシーズンタイヤ。ここでは純正サイズを基準に、長期的に変わりにくい代表車種をまとめた。
- トヨタ:プリウス(195/65R15)、カローラ(195/65R15・205/55R16)、ヤリス クロス(215/55R17)
- ホンダ:フィット(185/60R15)、シャトル(185/55R16)、ヴェゼル(215/60R16・215/55R17)
- 日産:ノート(185/65R15)、セレナ(195/65R15・205/50R17)
- マツダ:MAZDA3(205/60R16・215/45R18)、CX-3(215/50R18)
- スバル:インプレッサ(205/55R16・215/50R17)
- スズキ/ダイハツ:ソリオ(165/65R15)※インチアップ時の代表例
※ 記載サイズは純正基準。グレードにより異なる場合があります。
まとめ
AW-6は、普段使い中心でコスパを重視しつつ、雨天時や都市部の薄い雪にも備えたいユーザーに向いたオールシーズンタイヤだ。静粛性や高速安定性は上位モデルに及ばないものの、日常域での扱いやすさと価格の軽さが魅力。年間を通して「無理なく実用的に使える一本」を求めるドライバーにフィットする。
Q&A|AW-6はどんな人に向いている?
Q:AW-6はどんな使い方に向いているタイヤ?
A:普段の街乗りが中心で、コスパを抑えながら一年を通して安心して走りたい人にちょうどいいタイヤです。ドライや雨の日の性能は日常域なら十分で、都市部の薄い雪にも対応できます。高速での安定性は控えめなので、主に街中や郊外での移動が多いユーザーにフィットします。
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