ブリヂストンが新たに送り出した「BLIZZAK WZ-1(ブリザック ダブリューゼットワン)」は、氷上性能と摩耗寿命を高次元で両立した次世代スタッドレスタイヤ。
従来モデル「VRX3」で築いた吸水・密着技術をベースに、より長く“効きが続く”設計へと進化している。都市部から雪国まで、幅広いユーザーが安心して使える万能スタッドレスだ。
実際の走行レビューや氷上テスト結果は、WZ-1のレビュー記事で詳しく紹介している。
性能データとあわせてチェックしておくと、実際の使用感がより深く理解できる。
基本情報
まずは、WZ-1の基本スペックを押さえよう。
ブリヂストンが誇るスタッドレス技術の中で、どんな位置づけにあるのかを理解することで、このモデルの方向性がより明確になる。
| メーカー | ブリヂストン(BRIDGESTONE) |
|---|---|
| 発売年 | 2024年 |
| カテゴリー | 乗用車用スタッドレスタイヤ |
| 主要サイズ | 13〜18インチ |
| 製造国 | 日本 |
BLIZZAK WZ-1は、ブリヂストンの最新氷上技術を搭載した新世代モデル。従来のVRX3が「氷上特化」だったのに対し、WZ-1は“氷上と耐久の両立”をテーマに設計されている。
ブリヂストンらしい安定感と信頼性はそのままに、長期使用に耐えるバランス性能を手に入れたのが特徴だ。
開発ストーリー|“止まる力”を長く保つ、ブリザックの新たな挑戦
ブリヂストン BLIZZAK WZ-1は、「氷上性能を高めながら、長く効かせる」という難題に真正面から挑んだモデルだ。
前モデルVRX3で確立された“発泡ゴムによる吸水性能”をさらに進化させ、経年劣化や摩耗後も性能が落ちにくいタイヤを目指して開発された。
スタッドレスタイヤは新品時の氷上性能が高くても、使用を重ねるうちにグリップが低下しがち。ブリヂストンはこの課題を解決するため、ゴム内部の構造と配合を一から見直した。その結果誕生したのが、新世代コンパウンド「アクティブマイクロパウダーゴム」だ。
この素材は、氷上の水膜を吸収しながら摩耗層の内部にも新しい吸水粒子を配置。摩耗しても次の層が常に吸水力を発揮する“自己再生構造”により、長期間にわたり氷上グリップを維持できるようになった。
また、冬季テストは北海道・旭川や欧州の北部地域など、極寒環境で徹底的に実施。氷温下での制動距離・雪上加速・摩耗後性能などを徹底検証し、商用車から一般ユーザーまで安心して使える耐久性能を確立した。
性能データ|氷上性能と寿命をともに伸ばした進化設計
ブリヂストンが公表した社内比較テストでは、WZ-1は従来モデルVRX3に対して氷上ブレーキ性能を約5%向上、摩耗寿命を約20%延長。
雪上やウェットでも安定した制動を実現しており、実用域全体の底上げが図られている。
| テスト項目 | VRX3 | WZ-1 | 改善率 |
|---|---|---|---|
| 氷上制動距離 | 100% | 約95% | 約5%短縮 |
| 雪上制動距離 | 100% | 約97% | 約3%短縮 |
| 摩耗寿命 | 100% | 約120% | 約20%向上 |
| ウェット制動性能 | 100% | 約105% | 約5%向上 |
氷上性能を磨きつつも、寿命とウェット性能まで底上げしたのがWZ-1最大の特徴。
これにより「氷に強く、長く効くブリザック」というシリーズの信頼をさらに盤石なものにした。
特徴|WZ-1を支える3つのコア技術
ブリザックWZ-1は、氷上性能と寿命を両立させるために3つの技術を中核に据えている。
どれもVRX3で培った基盤を進化させ、“止まる力”を長く維持する方向へチューニングされている。
アクティブマイクロパウダーゴム|摩耗しても吸水性能が続く
氷上で生じる薄い水膜を吸収し、氷に密着する新素材コンパウンド。ゴム内部に均一に練り込まれた微粒吸水剤が、摩耗しても次々と露出し続けるため、性能の低下を最小限に抑える。
3Dダイアカットサイプ|剛性とエッジ効果を両立
ブロックの変形を抑えながらも、接地時にしっかりと路面を掴む新形状サイプ。従来の縦横サイプよりも立体的な形状にカットされ、ブレーキング時の面圧を広く確保する。
マルチセルストラクチャー進化型|気泡配置を最適化
ブリザックの代名詞であるマルチセル構造を再設計。気泡径のバラつきを抑えることで、路面接触面の均一性を高め、低温下でもグリップの安定性を維持する。これにより氷上・雪上の両方で滑りにくくなった。
これらの技術が組み合わさることで、氷上ブレーキ性能・寿命・静粛性の三拍子が揃った。ブリヂストンが長年培ってきたブリザック技術の集大成といえる内容だ。
構造・技術|内部構造で“長く効く”安定性能を実現
WZ-1は、トレッドパターンだけでなく内部構造も刷新されている。走行時の変形を抑え、接地圧を均一化することで、摩耗を防ぎつつ氷上での安定性を高めているのが特徴だ。
均一接地構造|ブロック変形を抑えて摩耗を均一化
カーカスとベルト層の剛性を再設計し、接地面の圧力分布を最適化。これにより路面への荷重が偏らず、偏摩耗やグリップムラを抑える。氷上でもトラクションを安定して発揮できる構造だ。
低発熱ベルト構造|発熱を抑えて転がり抵抗を軽減
走行中のタイヤ内部で発生する熱を低減する新素材ベルトを採用。スタッドレスながら燃費性能の向上にも貢献し、ドライ路面でもスムーズな走りを実現する。
剛柔バランスカーカス|氷上でも安定した接地感
サイドウォールとベルトのバランスを見直し、路面追従性と剛性を両立。特に轍(わだち)や凍結路面でのふらつきを軽減し、ハンドル操作の正確さを保つ設計だ。
これらの内部構造技術が組み合わさることで、WZ-1は「氷上での安定感」と「長寿命性能」を両立。
見えない部分の設計こそが、ブリヂストンらしい走りの信頼感を支えている。
設計仕様|扱いやすさとメンテナンス性を両立
WZ-1は、性能だけでなく“使いやすさ”にもこだわって設計されている。
非方向性パターンと左右対称構造を採用することで、タイヤローテーションが容易になり、長期使用時のコストパフォーマンスも高い。
- 回転方向:なし(非方向性)
- パターン構造:左右対称パターン
- サイドウォール表記:INSIDE/OUTSIDEなし
- XL規格対応:一部サイズで対応
非方向性パターンにより、装着位置を選ばずローテーションが自在。摩耗を均一化しやすく、長寿命をさらに引き出せる仕様となっている。
また、XL規格サイズも展開されており、重量車やハイブリッド車でも安定した走行が可能だ。
他社スタッドレスとの比較
ブリヂストンWZ-1は、氷上性能と耐摩耗性をバランス良く両立した万能型スタッドレス。
他社の最新モデルと比べると、その立ち位置の明確さがよく分かる。
| モデル名 | メーカー | 氷上性能 | 静粛性 | 耐摩耗性 | 特徴・立ち位置 |
|---|---|---|---|---|---|
| BLIZZAK WZ-1 | ブリヂストン | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★★ | 氷上と寿命を両立したブリザック最新世代 |
| BLIZZAK VRX3 | ブリヂストン | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 氷上制動力に特化したハイエンドモデル |
| WINTER MAXX 03 | ダンロップ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | 耐摩耗性に優れたロングライフ設計 |
| iceGUARD 8 | ヨコハマ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 氷上性能と静粛性を両立する万能タイプ |
| X-ICE SNOW | ミシュラン | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | 欧州系の快適性・安定性重視モデル |
WZ-1は、氷上性能ではVRX3と肩を並べ、寿命ではWM03に迫る実力を誇る。
さらに静粛性も確保されており、“氷上+耐久+快適”を高バランスでまとめた一本といえる。
サイズ展開|軽・コンパクトからセダンまで幅広く対応
WZ-1は13〜18インチまでの豊富なサイズをラインナップし、軽自動車からミドルクラスのセダンまで幅広く対応する。都市部から雪国まで、用途を選ばず扱いやすいのが特徴だ。
特に軽ハイトワゴンやコンパクトカーのユーザーに人気が高く、N-BOX・スペーシア・ヤリス・プリウスなどにも適合サイズを展開。雪道でも安定した直進性と制動力を確保できる。
最新のラインナップや価格はブリヂストン公式サイトで確認できる。
▶ ブリヂストン公式サイト|BLIZZAK WZ-1 製品ページ
また、SUV専用には別ラインとして「BLIZZAK DM-V3」が用意されており、より大型車向けの安定性を重視する人はこちらもチェックしておきたい。
メリット・デメリット
WZ-1を検討するうえで知っておきたい長所と注意点を整理する。
ブリヂストンらしい安定感をベースにしつつ、性能バランスの良さが光るモデルだ。
メリット
- 氷上ブレーキ性能と摩耗寿命を高次元で両立
- 摩耗末期でも性能が落ちにくい構造
- 非方向性設計でローテーションがしやすい
- 静粛性も確保し、街乗りでも快適
- 国産製造による品質と信頼性の高さ
“長く効くブリザック”の名にふさわしく、通勤・送迎・長距離など幅広い走行環境で安定した性能を発揮。
特に冬季の使用期間が長い地域では、寿命面での優位性が実感できる。
デメリット
- 価格はブリザックシリーズ内でも上位帯
- サイドウォールが柔らかく、高速コーナーではややマイルド
- スポーツ走行やドリフト用途には不向き
全体的に弱点は少ないが、価格重視やハンドリング重視のドライバーには他モデルのほうが合う場合もある。
ただし総合的な安定性と安心感を求めるなら、WZ-1は非常に完成度の高い選択肢だ。
まとめ|止まり続けるブリザックの新基準
BLIZZAK WZ-1は、氷上性能を極めたVRX3の技術を継承しながら、「効きが長く続くスタッドレス」へと進化した次世代モデルだ。
氷上でのブレーキ性能、雪上での安定性、そして摩耗後の持続力まで、あらゆるバランスを磨き上げている。
非方向性パターンによるローテーションのしやすさや、静粛性の高さもポイント。街乗りメインのユーザーにも扱いやすく、ブリヂストンらしい総合完成度を誇る。
“止まる力”と“長く使える安心感”を両立させたWZ-1は、厳冬地から都市部まで幅広いドライバーにおすすめできるブリザックの新基準モデルといえる。
実際の走行フィーリングや氷上テストの詳細は、WZ-1のレビュー記事で紹介している。
実走データと合わせて読むことで、よりリアルに性能を実感できるはずだ。
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