「ジェットって知ってる?」
ジェットとは、樹木の化石だ。
漆黒の宝石と言われ一見、黒い玉に見えるのに、よく見ると美しい木目が確認できる。木の温かみが感じられるジェットだが、光を反射し光沢を放つ様は神秘的で宝石としても有一無二。
また、ジェットは古くから愛され、イギリスをはじめ日本でもモーニングジュエリー(喪服ジュエリー)としても名高い。
古くから愛され、有一無二のジェットを解説していきたい。
ジェットに込められた意味
ジェット(jet)はギリシャ語で(ガゲスの石)を意味する”gagateslithos‘”が語源。ガゲスとは現代のトルコにある東海岸沿いにある町の名前だ。
後に、ラテン語で”gagates”となり古代フランス語で”jaiet”と変化していき”jet”となった。
そんなジェットの石としての意味は、以下の3つ。
- 木の化石
- 色
- ジェットと琥珀(アンバー)の違い
木の化石
深い黒色が特徴の宝石ジェット。
ジェットは宝石といっても無機質、結晶質の宝石ではなく、真珠と同じく豊かな自然が生みだした有機物の宝石。ただ、ジェットは鉱物でもなく鉱物様物質という分類になる。
ジェットは漆黒の宝石ともよばれているが、樹木の化石だ。海底で数百万年という長い年月を経て生まれたジェットは柔らかさと軽さ、木ならではの温かみを感じることができる。
色
ジェットの原石は一見石炭のようにも見えるが研磨することで木目と美しい光沢を放つ。
見た目がブラックであることからジェットの和名は黒玉(こくぎょく)。一方でブラックアンバー(黒琥珀)という別名もある。
ジェットは琥珀と共に堆積層から産出され、琥珀と同じように摩擦により帯電することからジェットは琥珀(アンバー)の1種であるとされ、ブラックアンバー(黒琥珀)と呼ばれてきた。
ジェットと琥珀(アンバー)の違い
「あれ?そもそもジェットって琥珀なの?違いは?」
ジェットを語る上で知ってもらいたいことがある。それは、ジェットと琥珀の違いだ。
ジェットは樹木(幹)そのものの化石だし、琥珀は樹脂の化石だということ。親子的存在だからこそ何かと共通点が多いジェットとアンバーだったが、顕微鏡によってジェットに年輪が確認できたことによりジェットとアンバーは違う物質であると明確に証明された。
ジェットの産地
ジェットはイギリス、スペイン、フランス、ドイツ、トルコ、ポーランド、ロシア、中国、アメリカと世界中の石灰層のある場所で発見されている。その中でもジェットの最も有名な産地はイギリス・ウィットビー。
ノースヨークシャー北海に面している場所にある港町だ。古代から高品質のジェットの産地として知られるている。ウィットビー産のジェットを‘’ハードジェット‘’、その他を‘’ソフトジェット‘’と区別するほどウィットビー産のジェットは極めて品質が良い!
ウィットビー産のジェット(ハードジェット)は強度を持ちながらも柔軟性、耐久性、粘着力があり、宝飾品加工として最も適したジェットと言われている。
一方でスペインガリシアのジェットは、ハードジェットではないが、柔らかさを生かしビーズ状のロザリオや聖人像を彫刻するのに多様され、イギリスにも輸入された。
世界中でジェットは発見されているが、実際加工にむいているのはイギリスとスペインが中心だったよう。
19世紀末、ジェットの最も重要な産地であったイギリスウィットビーの鉱山は閉鎖され、ハードジェットの採掘は不可能となった。
閉鎖されてから約100年間、ハードジェットは幻の宝石とも呼ばれ、手に入れる為にはアンティークを探すしかなかった。
しかし、近年イギリスウィットビー産とほぼ同質のジェット原石が発見されたことによりアンティークではないジェットが流通。まさに現代にもジェットがカムバックしたと言える。
ジェットの歴史
ジェットと言えばイギリス王室ヴィクトリア女王により、喪に使う宝石(モーニングジュエリー)として定着したジェットだが、もともとジェット=喪の宝石だったわけでなく、紀元前1万年には、ドイツやスイスにある洞窟の中でジェットの動物や幼虫を象ったお守りが発見されたり、石器時代には魔除けの宝石として活躍していた。
そう、ジェットは古来から珍重されていた!しかし、ジェットを一躍有名にしたのは紛れもなく19世紀イギリス王室だろう。
ジェットの歴史をイギリスにスポットライトを当てて日本の時代を目安に解説してみることにする。
ジェットの歴史
- 1世紀〜3世紀(西暦100〜300)
- 4世紀後半(西暦301〜400)
- 7世紀後半(西暦601〜700)
- 17世紀(西暦1601〜1700)
- 19世紀(西暦1801〜1900)
1世紀〜3世紀 (西暦100〜300)
日本だと弥生時代頃、イギリスがローマ人に占領された時代にジェットは、イギリスウィットビーからローマへと船積みされたと記録されている。
4世紀後半 (西暦301〜400)
日本だと邪馬台国頃、ローマ人がイギリスを去るまでの間ウィットビー産ジェットはヨーロッパ全土に知られるようになったが、ローマ人がイギリスを去ると共にジェット工業は衰退してしまう。
7世紀後半 (西暦601〜700)
日本だと飛鳥時代、イギリスにキリスト教が普及し、ジェットも復活!聖職者の装身具や、クロス、リングに加工され愛された。
17世紀 (西暦1601〜1700)
日本だと江戸時代、宗教改革により、偶像崇拝が非難されると共にジェットの装身具は身につけられなくなり、ジェット工業もまたまた衰退してしまう。
19世紀 (西暦1801〜1900)
日本だと江戸時代幕末〜明治時代、イギリスのアレクサンドリアヴィクトリア女王が1837年に18歳の若さで即位。アルバート公と結婚したが、1861年42歳でアルバート公が腸チフスにより急逝。
悲しみにくれたヴィクトリア女王は25年間喪に服し、喪服用のジュエリーとしてジェットを肌身離さず着け、人々にもジェットを身に着けるよう言い渡し、黒以外の装飾品の使用も禁止した。
当時ヴィクトリア女王はファッションリーダー的存在でもあり、ジェットは庶民にも広まった。一時期は街の装飾品がブラック1色になるほどジェットは大流行!
1887年ヴィクトリア女王が喪服の暖和令を発令したことをきっかけにジェットは表舞台から姿を消し、ウィットビー鉱山も閉鎖された為アンティークとして流通するようになった。
もともとジェットは主産地ウィットビーで細々と修道院に収めるロザリオやビーズを作っていたがジェットをファッションとして使ったのが王室であり、ヴィクトリア女王のみならず、ウィリアム4世の頃には、ネックレスやブローチを身につけていたそうだ。
ジェットの石言葉・宝石言葉は?
<ジェットの石言葉・宝石言葉>
- 忘却
- 闇の浄化
- 魔除け
忘却
忘却とは悲しい別れを乗り越える、辛い過去を忘れるといった意味がある。
闇の浄化
闇の浄化とは争いや怒りといった感情から解放され心の混乱を鎮めるといった意味がある。
人や物などあやゆるものから受ける悪影響を回避し、困難を乗り越える知恵や勇気といった行動力の面でもサポートしてくれるだろう!
魔除け
魔除けとは悪夢を見たり、他人からの妬みやつらみなど負からの不安な気持ちや、恐怖心、失望心といったネガティブな感情から守ってくれる意味がある。
ジェットは外部からのマイナスエネルギーだけでなく持ち主のマイナスエネルギーを吸い込んで浄化してくれる。
ジェットのパワーストーンとしての効果
ジェットの効果
- お守りとしての効果
- ネガティブな感情を清めてくれる
- ポジティブさを与えてくれる
- 争いを収める・怒りを鎮める
- 恐怖心や不安感からの解放
① お守りとしての効果
ジェットは邪気を跳ね返すというより、自らの中に取り込んで浄化するタイプのパワーストーン。魔除けの石として霊的なパワーに対する抵抗が強いとされているので、魔除けや厄祓いの効果がある。
古来の人々も魔力を撃退できると信じ、お守りとしてジェットのペンダントやブレスレットを身につけていた。そう、ジェットを魔除けの石として用いていたのだ。
② ネガティブな感情を清めてくれる
ジェットは闇から救うパワーストーンでもあり、外部からのマイナスエネルギーだけでなく持ち主の中のマイナスエネルギー、例えば不安な気持ちや恐怖心、失望心といった心の内部に潜む闇を浄化し清めてくれる効果があるとされる。
③ ポジティブさを与えてくれる
忘却の石言葉をもつジェットは辛い経験や嫌な過去を忘れさせてくれる事で、ポジティブに生きていくきっかけを作ってくれる効果があるとされる。例えば、人生のなかで大切な人やペットを失い、喪失感で気持ちが滅入ってしまうようなときにはジェットを身につけてみてほしい。
また、ストレス暖和作用もあるとされ、仕事や家庭でのストレスを吐き出す事が難しいと感じるときにもジェットを身につけてみてほしい。ジェットは持ち主に寄り添いアシストしてくれるだろう。
④ 争いを収める・怒りを鎮める
嫉妬や争いなどの暴力的なエネルギーから持ち主を守ってくれる効果があるとされ、心の混乱を鎮めてくれる。
ジェットの産地でもあるイギリスでは感受性豊かな人も多く感情の安定が保たれるとしてイギリスの人々から人気だったそう!
⑤ 恐怖心や不安感からの解放
ジェットはマイナスエネルギーを浄化し、マイナスをプラスに変換してくれる効果があるとされる。負の感情から解放され、意欲も湧いてくる!
困難を乗り越えたい人や目標達成したい人にもジェットはアシストしてくれるだろう!
ジェットはこんな人におすすめ
- 魔除け厄除け:お守りとして強力な魔除けがほしいとき。
- 個人を追悼する:悲しい事や辛いことから前向きになりたいとき。
- 他人からの悪い影響を受けたくない:イービルアイ(邪視=呪いを掛ける魔力)のように悪影響を与えて来るものを遮断したいとき。
- 争いや怒りの感情に流され恐怖心や不安感を感じやすい:自分らしくありたいとき
- 困難を乗り越えたい・目標を達成したい:意欲向上
ジェット硬度
ジェットの硬度(モース硬度)は2.5〜4.0と柔らかく、琥珀や真珠の硬度とほぼ同等。力を入れて強く擦ったり、強い衝撃は傷や割れの原因になるので気をつけたい。
ジェットの浄化方法
浴水 | 太陽光 | 月光 | セージ | 塩 | 音 |
× | △ | ◎ | × | × | ◎ |
ずっとジェットを身につけているとジェットが疲れて効果が減少してしまう。定期的に浄化をすることでジェットの効果が発揮しやすくなる。
ジェットの浄化方法は様々だが、繊細なジェットに最も適した浄化方法は音の浄化方と月光の浄化方法だ。
ジェットは硬度が低くく割れたりかけたりしやすいので衝撃を与えないように注意しょう。また、汗など水分や塩分にも強くないので着用時は汚れをしっかり拭いてあげるといい。
ジェットと相性の良い石は?
<ジェットと相性の良い石>
- ジェット×オニキス
- ジェット×アマゾナイト
- ジェット×水晶
ジェット×オニキス
ジェットとオニキスの組み合わせは魔除け、目標達成に効果あり。
外部からの攻撃に対する防御力に強いジェットは他人からの影響をうけにくくするパワーストーン。持ち主の中にある悲しみ、不安、怒りといったネガティブなものを浄化してくれるので前向きな気持ちで未来に向かえる!
オニキスは意志を強くして忍耐力や自制心を養う。縁切り効果もあり、持ち主に対してマイナスな影響を及ぼす人を遠ざける効果も。邪気を祓い心を鎮め、地に足をつけ目標へ向かって努力することができるようアシスト!
そう、魔除けの石としてあまりに有名なジェットとオニキス。2つ組み合わせることで目標達成率が上がり、トラブルが起きてもなんなく乗り越えていける組み合わせだ。
ジェット×アマゾナイト
ジェットの心を鍛える力としっかりと進んでいく堅実さと、明るくはつらつとしたパワーをもつアマゾナイトを組み合わせることで自分らしく明るい未来への希望をもたらす効果がある。
ジェットは決断力、勇気、自立心をもたらし、ネガティブな感情を浄化する。闇払いの効果があるとされ、明るい気持ちに導いてくれる。アマゾナイトは別名(ホープストーン)といい、不安や迷いを取り払い行動を起こすようにアシストしてくれる。
ジェット×水晶
ジェットと水晶、相まれば総合的に運気を高めてくれる組み合わせ。
ジェットは魔除けや旅の護衛の力があるとされ、古くから故人を追悼する装身具としても身につけられてきた。悪い影響を受けるような存在が現れてもほとんど手出しできないくらい強力に守ってくれるジェットはお守りとしても心強い。
水晶は万能の石と言われ、親和性がとても高くどんな石とも相反することがない!また、浄化作用をもち、他のパワーストーンも浄化してくれるのでパワーストーンを長持ちさせる効果もある。
ジェットと水晶を一緒に組み合わせればジェットの効果を引き出してパワーを受けとることができる。ジェットとの組み合わせで迷ったらまずは水晶と組み合わせてみるといい。
まとめ
古代からの原点回帰を感じるジェット。
ジェットの良さは他のパワーストーンにはない木の温かみと木ならではの軽さだと思う。
自然体の美しさがありながらも魔除けの効果があるジェットは強力なお守りとしてワタシのいつもの相棒になっている。