ダンロップ(DUNLOP)の国内向けオールシーズンタイヤの先駆者的ロングセラーモデル「オールシーズンマックス AS1(ALL SEASON MAXX AS1)」。夏タイヤ同等の操縦安定性と、突然の雪にも慌てない確かな雪上性能を1本で両立させた実力派だ。
最大のメリットは、毎年のタイヤ交換にかかる費用と時間を節約できる圧倒的な利便性にある。冬の冷たい雨や都市部特有の「うっすら積雪」程度なら余裕で対応できるため、非降雪地域のドライバーにとって非常に経済性と実用性の高い選択肢となっている。
軽自動車からミニバンまで幅広いサイズをラインナップし、街乗り中心の日常使いで高いポテンシャルを発揮する。ただし、凍結路面(アイスバーン)や深雪といった極限状態は守備範囲外となるため、使用環境に応じた弱点の把握は不可欠だ。
ダンロップ AS1とは?国内オールシーズン市場を切り開いた一本

AS1は住友ゴム工業が手がけるダンロップブランドのオールシーズンタイヤで、国内大手メーカーとしてこのカテゴリーに本格参入した記念碑的なモデルだ。背景を知れば、AS1がどんな課題を解決しようとしたタイヤなのかが見えてくる。
発売は2019年10月
ドライ・ウェットに加えて雪道まで走行できるオールシーズンタイヤとして、住友ゴム工業が満を持して投入したモデルだ。
狙いは「タイヤ交換の手間からの解放」
スタッドレスへの履き替えが不要になる利便性を軸に、都市部や軽雪地域のドライバーに向けて開発された。
サイズ展開は全21サイズ
155/70R13から225/45R18まで、軽自動車からミニバン・SUVまで幅広い車種をカバーする規模でスタートした。
国内メーカー参入の意味は大きい
輸入オールシーズンタイヤが中心だった市場に、日本の道路環境を踏まえた選択肢が加わったことになる。
AS1を支える独自技術|超マルチコンパウンドという発想

オールシーズンタイヤの最大の難しさは「夏も冬も両立させる」という矛盾した要求にある。AS1はこの矛盾を3つの技術で解決しようとしている。
①超マルチコンパウンド
常温では夏タイヤと同程度の硬さを保ちながら、低温下では硬化しにくい性質を持つ新開発のゴム素材だ。気温が下がるとタイヤが硬くなりグリップを失うという、従来のオールシーズンタイヤの弱点に正面から向き合った技術と言える。
②幅広センターリブ+Vシェイプ主溝
幅広センターリブがアスファルト路面を正確に捉えることで、夏タイヤ同等の操縦安定性を実現。一方でVシェイプ主溝が水膜をタイヤ側面へ効率よく排水し、ウェットブレーキ性能を支えている。安定性と排水性を1つのパターンで両立させる設計だ。
③雪上トラクションを高めるブロック配置
トレッドパターンの配置を工夫することで、雪上でのトラクション性能とブレーキ性能を確保。住友ゴム工業の公式テストでは、雪上ブレーキ性能が同社の夏タイヤ「エナセーブ EC204」比で49%向上したという結果が出ている。
AS1【5段階評価】性能レビュー

AS1の構造・コンパウンド特性と公式データをもとに、実走で現れる性能の傾向を5項目で整理した。
★★★☆☆ ドライ性能
幅広センターリブにより夏タイヤ同等の操縦安定性を確保。国産らしいしなやかさで日常域の扱いやすさは十分にある。
★★★★☆ ウェット性能
Vシェイプ主溝による排水性の高さが光る。冷えた雨の中でもグリップを落としにくく、AS1の最大の強みと言える項目だ。
★★★☆☆ 静粛性
ブロックの細分化によりパターンノイズは抑えられているが、静粛特化型のモデルと比べると一歩譲る印象になる。
★★★☆☆ 乗り心地
柔らかすぎず硬すぎない標準的な味つけ。普段使いの快適性としては十分なバランスだ。
★★★☆☆ 雪上性能
都市部の「うっすら雪」には問題なく対応するレベル。ただし積雪地帯や凍結路での常用は想定されていない。
AS1の競合比較|オールシーズンタイヤ3タイプのどこに立つか

オールシーズンタイヤは、モデルごとに「何を優先するか」がまったく違う。AS1がどの位置に立つタイヤなのか、3つのタイプに分けて整理する。
静粛型(AW21)
最優先は静けさと乗り心地。街中の快適性ではAW21が一歩リードするが、AS1は軽快なハンドリングと冬の冷えた雨での安定感で勝負する。
★バランス型(AS1)
ドライ・ウェット・軽雪・乗り心地を「ちょうどいいライン」でまとめるタイプ。特に低温ウェットでの安定感が際立ち、普段の運転で扱いやすいのが特徴だ。
高速安定型(クロスクライメート3)
高速域での直進性や剛性感を優先するタイプ。高速を多く走るならCC3が有利だが、街乗りメインならAS1のほうが軽くて扱いやすい。
⚠️低温ウェットの安心感と、静粛性・寿命に見える伸び余地

⭕冷えた雨でも崩れないグリップ
AS1の最大の武器は、超マルチコンパウンドとVシェイプ主溝がもたらす低温ウェット性能だ。気温が下がるほどグリップを失いやすくなる冬の雨の日でも、安定したブレーキ性能を維持しやすい。さらに幅広センターリブによる夏タイヤ同等の操縦安定性が組み合わさることで、ドライ・ウェットを問わず街乗りでストレスの少ないハンドリングを実現している。軽自動車からミニバンまで全21サイズという幅広さも、導入のしやすさを後押ししている。
❌静粛性と寿命では特化型に一歩譲る
- ①静粛性は特化型に劣る。ブロックの細分化によってパターンノイズは抑えられているものの、静粛性を最優先に開発されたAW21のようなモデルと比べると、走行音の面では一歩譲る印象になる。高速道路での静かさを最重視するなら、その点は事前に理解しておきたい。
- ②寿命はやや短めの傾向。低温下でも柔軟性を保つコンパウンド設計は性能面で有利だが、その柔らかさゆえに摩耗のペースは標準的な夏タイヤよりやや早まる傾向がある。長距離を頻繁に走るユーザーは、交換サイクルを少し短めに見積もっておくと安心だ。
- ③高速安定性の「芯の強さ」は控えめ。幅広センターリブにより夏タイヤ同等の安定性は確保しているものの、高速域での直進性や剛性感を最優先するならクロスクライメート3のような高速安定型のほうが満足度は高くなる。高速移動が多いユーザーは用途を見極めたい。
AS1の評価・実走レビュー|ユーザーの声と専門家の評

カタログスペックだけでは見えてこない使用感を、実際の評価から探ってみる。
良い評価ばかりではなく、辛口の声や賛否が分かれるポイントも含めて、正直に並べていきたい。
国内メーカーが手がけたオールシーズンタイヤとして、信頼性の面でどう受け止められているのかも見えてくるはずだ。
ユーザーの声
- 「履き替えの手間がなくなって楽になった」――TIREHOODの購入者レビューより。スタッドレスへの交換作業や保管場所の確保から解放されたという声は多い。特に軽自動車やコンパクトカーユーザーからは、年間を通じて同じタイヤで過ごせる安心感を評価する投稿が目立つ。一方で「積雪地帯では過信しないほうがいい」という注意書きを添えるレビューも見られ、用途の見極めが大切だという認識は共有されているようだ。
- 「静粛性はもう一歩」――価格.comのクチコミより。コンチネンタル製の夏タイヤから履き替えたユーザーの投稿では静粛性の向上を評価する声があったが、別のレビューでは高速走行時のノイズについて触れるものもあり、評価は使用条件によって幅がある。満足度評価も投稿によってばらつきがあり、装着サイズや車種との組み合わせで印象が変わりやすいタイヤだという傾向がうかがえる。
専門家の評
- 「国内市場への参入自体に意味がある」――タイヤ専門メディアの評。輸入ブランドが中心だったオールシーズンタイヤ市場に、国内大手メーカーが本格参入した点を評価する論調が多い。超マルチコンパウンドによる常温剛性と低温柔軟性の両立、スイッチグルーブを活用した雪上トラクション設計について、技術的な両立度の高さを指摘する専門家評もある。
- 「公式テストの実測値に説得力がある」――Car Watch等の製品紹介より。雪上ブレーキ性能がエナセーブEC204比で49%向上したという公式テスト結果や、ウェットブレーキ性能の改善データが具体的な数値として示されている点を評価する内容が目立つ。一方で、あくまで特定条件下のテスト値であり、実際の走行環境では結果が変わる可能性がある点への言及も見られる。
総じて、履き替え不要という利便性への満足度は高いが、静粛性や高速安定性については「特化型には及ばない」という前提で選ぶのが賢明だという評価でまとまっている。
AS1がおすすめな人と最適な車種

軽自動車・コンパクトカーユーザー
ホンダ N-BOX、スズキ ワゴンR、トヨタ ヤリス、日産 ノートなど。サイズ展開の広さから選びやすく、街乗り中心の使い方にちょうど合う。
都市部で軽い積雪に備えたい人
トヨタ プリウス、トヨタ カローラ、ホンダ シビックなど。スタッドレスへの履き替えが不要になる利便性が、忙しい毎日との相性がいい。
ミニバン・SUVユーザー
トヨタ ノア/ヴォクシー、ホンダ ステップワゴン、トヨタ C-HRなど。家族の移動が多く、シーズンごとのタイヤ交換の手間を減らしたいユーザーに向く。
AS1のテクニカルスペック|サイズと規格

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売年 | 2019年10月 |
| サイズ展開 | 全21サイズ(155/70R13〜225/45R18) |
| パターンタイプ | 非方向性パターン(幅広センターリブ/Vシェイプ主溝) |
| 主要技術 | 超マルチコンパウンド |
| 対応規格 | M+S(マッド&スノー)、スノーフレークマーク適合、低車外音タイヤ認定 |
| 雪上ブレーキ性能 | 同社夏タイヤ「エナセーブ EC204」比で49%向上(公式テスト値) |
| 代表サイズ例 | 155/65R13、195/65R15、205/55R16、215/60R16、215/55R17 など |
※公式テスト値はメーカー公表のテスト条件下での結果であり、実際の走行環境では結果が異なる場合がある。サイズ・スペックは導入時期によって変更される可能性があるため、購入前に最新の公式情報を確認したい。
まとめ:静かさより、低温ウェットを選んだ理由

ダンロップ オールシーズンマックス AS1は、超マルチコンパウンドによる低温ウェット性能を軸に、夏タイヤ同等の操縦安定性とスタッドレス不要の利便性をまとめた、国内オールシーズン市場の先駆けと言える一本だ。
静粛性や高速安定性では特化型モデルに譲る部分があるものの、その代わりに手に入るのは「冬の冷えた雨でも崩れないグリップ」と「履き替えを考えなくていい一年」だ。軽自動車からミニバンまで幅広い車種で、街乗り中心のドライバーに長く付き合える選択肢になるはずだ。
街乗りでの実力と弱点を、商用版・競合・ランキングで確かめる
AS1の街乗り性能と知っておくべき弱点は本文で見えてきたはずだ。ここからは軽商用車向けの姉妹モデルや他社の主要オールシーズンとの比較、都市部向けランキングでの立ち位置まで見ていこう。
姉妹モデルとブランド全体を確認する
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他社の主要オールシーズンと比較する
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都市部向けランキングで俯瞰する
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