ヨコハマのオールシーズンを代表する「BluEarth-4S AW21(ブルーアース 4S AW21)」。
街乗りの静粛性、雨天時の安定感、都市部の軽雪対応という“日常で本当に使う性能”を幅広く押さえた国産万能モデルだ。
欧州志向のミシュランとは異なり、AW21は日本の道路環境に合わせて「乗り心地」「低ノイズ」「低温ウェット」に重点を置いた設計。
普段使いの安心感を重視するユーザーに向け、扱いやすさを最優先して作られている。
この名鑑では、AW21の開発背景・公式データ・他社比較・メリット/デメリットを整理し、「どんなユーザーに最適か」を明確に解説する。
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基本情報|ブルーアース 4S AW21の立ち位置と設計思想
ブルーアース 4S AW21は、ヨコハマが“日常領域の安心感”に特化して開発したオールシーズンモデル。
静粛性・雨の強さ・都市部の軽雪性能という3要素のバランスを重視し、普段乗りでストレスを感じない乗り味を追求している。
欧州の“全天候ハイパフォーマンス”志向ではなく、あくまで日本の走行環境に合わせて調律された一台で、街乗りの快適性を損なわず、冬の急な天候変化にも対応できる点が特徴だ。
| 発売年 | 2020年 |
| カテゴリー | オールシーズンタイヤ |
| 開発コンセプト | 静粛性・雨・軽雪のバランスを最適化した国産万能型 |
| ターゲット車種 | 軽自動車/コンパクト/ミニバン/SUV |
| ターゲットユーザー | 街乗り中心で静粛性を重視する人、急な雪への備えをしたい都市部ユーザー、国産の快適な乗り味を求める人 |
| パターン | V字パターン+3Dサイプ |
| 特徴技術 | オールシーズン専用コンパウンド、トレッド剛性最適化、低温ウェット強化設計 |
AW21の技術的特徴と性格
AW21は、ヨコハマが“日常を快適にすること”を軸に設計したオールシーズンタイヤ。
高速域のシャキッとした剛性感よりも、街中での静かさ・しっとりした乗り心地・雨の日の安定感を優先している。
パターンはV字系のオールシーズンらしい構造だが、剛性の立ち上がりが柔らかく、路面の細かい入力をいなす動きが得意。低温ウェットに強く、冬の冷え込んだ朝や“うっすら積雪”レベルなら問題なく動ける特性を持つ
突出した尖り性能はないが、日常で求める安心感が高く、日本の道路事情との相性が非常に良い。
開発ストーリー|都市部の“リアルな冬”に最適化されたAW21の背景
ブルーアース 4S AW21は、ヨコハマが「日本のユーザーが本当に必要とするオールシーズンとは何か」を突き詰めて開発したモデル。
欧州で主流の全天候型とは異なるアプローチで、“街乗りでの快適性”と“急な冬の変化への備え”を両立させることをテーマに設計されている。
都市部の実走データを解析し、低温ウェットや薄雪など、日本特有の冬環境に最適化した性能を追求した。
開発背景
開発開始当時、日本ではスタッドレスタイヤの装着率が高い一方で、「都市部では冬に雪がほとんど降らない」「日常の静粛性を優先したい」というニーズが増えていた。
そこでヨコハマは、「スタッドレスほどの氷上性能は不要だが、突然の積雪には対応したい」という現実的な要望に着目。
欧州のような急斜面や凍結路ではなく、日本の都市部で起こりやすい“冷えた路面+薄雪”にフォーカスした新コンパウンドとパターン開発が進められた。
狙った性能軸
AW21の設計思想は、以下の3つの柱を中心に構築されている。
- 静粛性(低ノイズ・快適性)
街乗り需要の多さを踏まえ、ノイズ低減を最重要課題として設定。オールシーズンながらサマータイヤに近い静けさを目指した。 - 低温ウェット性能
日本の冬事故の多くは「低温×雨」が原因。冷えた路面でもグリップを維持するコンパウンド特性を重視した。 - 軽雪性能(都市部レベル)
深雪を想定せず、「うっすら積もった雪をしっかり動ける」現実的な性能目標を設定。これにより静粛性と乗り心地を損なわずに済んでいる。
技術的キーポイント
- オールシーズン専用コンパウンド
低温下で硬くなりにくい配合により、冷えた路面でのウェット性能と軽雪グリップを両立。スタッドレスほど柔らかくなく、舗装路での安定性が高い。 - V字型トレッド+3Dサイプ
排水性の高いV字パターンとエッジ効果を高める3Dサイプを組み合わせ、水膜や小雪の処理を最適化した設計。 - トレッド剛性の最適化
ヨコハマらしい“しっとりした乗り心地”を作るため、剛性をやや柔らかめに調整。路面の細かな凹凸を吸収し、街乗りでの快適性を高めている。
簡易性能チャート|静粛性と街乗り性能が光る国産万能型
| 性能項目 | 評価 | 根拠(構造的特徴) |
|---|---|---|
| ドライ | ★★★☆ | 柔らかめの国産コンパウンドで街乗りの扱いやすさを重視。ミシュラン系よりスポーティさは控えめ。 |
| ウェット(低温含む) | ★★★★ | 国産ウェットに強い“アクアフィラー+シリカ配合”を採用。低温域でも安定した排水・接地を確保。 |
| 静粛性 | ★★★★★ | ノイズ低減ブロック配置+ピッチ最適化により、国産トップクラスの静けさを実現。 |
| 乗り心地 | ★★★★ | 柔らかいサイドウォールと国産特有のしっとり感で、街乗りでの快適性が高い。 |
| 雪(軽雪) | ★★★ | サイプはあるが冬寄り構造ではないため、“都市部の薄い雪まで”が想定レンジ。3PMSF取得で最低限の雪性能を確保。 |
| 寿命 | ★★★☆〜★★★★ | 柔らかめだが国産の摩耗均一性が高く、平均〜やや長持ちの傾向。走行環境で差が出やすいタイプ。 |
他社比較|クロスクライメート 3・クロスクライメート 2との性能差
ブルーアース 4S AW21の実力を把握するには、オールシーズン市場を牽引するミシュランのクロスクライメート 3(CC3)・クロスクライメート 2(CC2)との比較が欠かせない。
AW21は“静粛性と街乗り快適性”を重視した国産万能型で、ミシュラン勢は“高速安定性と全天候対応”を追求した欧州志向と、方向性が大きく異なる。
ここでは、静粛性・雨・ドライ・雪・寿命の5軸で違いを整理する。
| 比較ポイント | AW21 | クロスクライメート 3 | クロスクライメート 2 |
|---|---|---|---|
| 静粛性 | ★★★★★ 街乗りの静けさがトップ級 | ★★★★★ 高速域でも異常に静か | ★★★★☆ 街乗り静粛が得意 |
| 雨(ウェット) | ★★★★ 低温ウェットに強い国産系 | ★★★★★ 欧州トップクラスの安定性 | ★★★★★ 低温×ウェットで強力 |
| ドライ | ★★★☆ 街乗り重視のしっとり系 | ★★★★★ 直進性が高く高速に強い | ★★★★ 上質で安定感のある特性 |
| 雪(軽雪) | ★★★ 都市部の薄雪レベルに対応 | ★★★★ 冬の低温下でも安定 | ★★★★☆ 軽雪での安心感が高い |
| 寿命 | ★★★☆ 平均〜やや長持ち | ★★★★ 摩耗に強く長寿命 | ★★★★ 全体的に長持ち |
※1:星評価は、実走レビュー・メーカー公表値・各タイヤ特性を総合したもの。
※2:ウェット/ドライの傾向は欧州ラベリングやメーカー資料を基準とした相対比較している。
※3:雪性能は都市部の「薄雪」や「低温ウェット」を前提にした評価。
※4:寿命は同カテゴリーの一般的傾向と実走レビューをもとにした目安となっている。
※5:代表サイズ(例:215/60R16)を基準とした傾向で、サイズにより性能差が生じる場合あり。
AW21が勝つポイント
- 街乗り静粛性がトップ級で、EV・ハイブリッドとの相性が圧倒的。
- しっとり柔らかい乗り味で日常の快適性が高い。
- 価格が控えめでコスパが良いため、普段使い中心のユーザーに最適。
AW21が負けるポイント
- 高速安定性はCC3に明確に劣るため、長距離巡航主体には不向き。
- 低温×雪ではCC2が優位で、寒冷地ほど差が大きい。
- 突出した尖り性能はなく、あくまで万能型のキャラクター。
5秒で選ぶ結論
- 静粛性×街乗り快適性なら → AW21
- 高速安定性×全天候性能なら → クロスクライメート 3
- 低温×雪×総合バランスなら → クロスクライメート 2
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メリット・デメリット|AW21が選ばれる理由と気になる弱点
ブルーアース 4S AW21は、静粛性・乗り心地・低温ウェットに強みを持つ国産万能型のオールシーズンタイヤ。
都市部のユーザーが求める“普段乗りの快適性”に軸を置いた設計が特徴だ。
一方で、高速安定性や寒冷地レベルの冬性能はミシュラン勢に及ばないため、走行環境を踏まえた選択が重要になる。
メリット
- 街乗りの静粛性が非常に高いため、EV・ハイブリッド車での相性が良い。
- ヨコハマらしいしっとり快適な乗り心地で、段差や継ぎ目のショックが小さい。
- 低温ウェットでの安心感が高く、冬の冷たい雨でも安定して走行できる。
- 価格が比較的控えめでコスパが良いため、普段遣いユーザーに向いている。
- 都市部ユーザーに必要な性能が揃っている万能型で、扱いやすいキャラクター。
デメリット
- 高速域での直進安定性はミシュラン勢に劣るため、長距離高速走行には不向き。
- 深雪・凍結路はスタッドレスの領域であり、寒冷地では性能不足。
- スポーティな走りには向かないセッティングで、キレのある操縦性は弱い。
- 尖った突出性能がない万能型のため、「雨最強」「高速最強」といった特化型を求める人には不向き。
サイズ展開|主要14〜19インチを網羅する幅広いラインナップ
ブルーアース 4S AW21は、軽自動車からコンパクト、ミニバン、SUVまで幅広い車種に対応する豊富なサイズ展開が特徴。
特に14〜19インチの主要サイズが揃っており、都市部ユーザーの利用範囲をしっかりカバーする構成となっている。
ここでは代表的なサイズを一覧で整理する。
| 14インチ | 155/65R14、165/70R14 |
| 15インチ | 175/65R15、185/65R15、195/65R15 |
| 16インチ | 205/55R16、205/60R16、215/60R16 |
| 17インチ | 205/50R17、215/55R17、225/45R17 |
| 18インチ | 225/45R18、225/50R18 |
| 19インチ | 225/55R19 |
最新のサイズラインナップは、ヨコハマ公式サイトで確認可能。
YOKOHAMA BluEarth-4S AW21|公式サイト
まとめ|AW21は“都市部の日常”に最適化された国産万能オールシーズン
ブルーアース 4S AW21は、オールシーズンタイヤの中でも「静粛性・しっとり感・低温ウェット」の3軸に強みを持つ国産万能型。
日常の使いやすさを最優先し、街乗りを中心にするユーザーにとって扱いやすいバランスで設計されている。
一方で、高速安定性や寒冷地レベルの雪性能ではミシュラン勢に一歩譲るため、走行シーンに合わせたタイヤ選びが重要となる。
総評
AW21は、ヨコハマらしい快適な乗り心地と高い静粛性をベースに、冬の冷えた路面や“うっすら積雪”にも対応できる万能性をもつオールシーズンタイヤ。
深雪や凍結路は専門外だが、都市部の冬なら十分にカバーできる性能領域を備えている。
ミシュラン勢が高速や全天候性能に振っているのに対し、AW21は「普段乗りの快適性 × 軽い冬対応」という日本向けの現実的なチューニングが魅力となっている。
おすすめの人
- 街乗りの静粛性を最優先したい人
- EV・ハイブリッドで静かな乗り味を求める人
- 普段は雪がほとんど降らない地域で、万が一の備えもしておきたい都市部ユーザー
- ミシュラン勢の硬めの剛性感が苦手な人
- コスパ重視でバランスの良いタイヤを選びたい人
注意点
- 高速道路の長距離走行が多いならCC3が適正で、直進安定性で差が出る。
- 寒冷地や本格的な雪道には不向きで、スタッドレスの代替にはならない。
- スポーティな走りには向かないため、キレのある操縦性を求めるユーザーは別モデルが適正。
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