トーヨー セルシアス(Celsius)は、冬の冷えた路面や薄い積雪にも対応できる“冬寄り万能型”として評価されるオールシーズンタイヤだ。気温が下がった場面でもグリップを確保しやすく、都市部の突然の雪にも強い点が特徴となる。
低温で硬くなりにくいコンパウンドと、冬タイヤ由来のサイプ構造を組み合わせることで、軽雪性能と日常走行の扱いやすさを両立している。街乗りではしっとりとした乗り心地を持ち、普段使いでの安定感も高い。
この名鑑では、セルシアスの開発背景、性能データ、他社比較、メリット・デメリット、サイズ展開まで体系的にまとめ、「どんなユーザーに最適な1本なのか」をわかりやすく解説する。
基本スペック|トーヨー セルシアスの素性を押さえる
セルシアス(Celsius)は、冬の低温環境と軽雪性能を重視した“冬寄り万能型”オールシーズンとして設計されている。トーヨータイヤが日本の冬事情を踏まえて開発したモデルで、街乗りの扱いやすさと雪への対応力のバランスが特徴となる。
| メーカー | トーヨータイヤ(TOYO TIRES) |
|---|---|
| モデル名 | Celsius(セルシアス) |
| タイヤ種別 | オールシーズンタイヤ(冬寄り万能型) |
| 発売年 | 2016年(現行は改良版) |
| コンパウンド | 低温でも硬化しにくい冬タイヤ系コンパウンドをベースにした全天候対応配合 |
| トレッドパターン | 細かいサイプを多く配置した冬寄りパターン+全天候型ブロック設計 |
| 雪対応 | 3PMSF(スリーピークマウンテンスノーフレーク)取得。軽雪に強い構造。 |
| 欧州ラベリング(目安) | ウェット:C〜B/燃費:C前後/騒音:70〜72dB |
| 推奨車種イメージ | 軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、小型SUV など |
| 価格帯の目安 | ミドルクラス。冬寄り万能型としては導入しやすいレンジ。 |
低温での安定性と軽雪対応を確保しつつ、日常走行の扱いやすさを維持した「冬に強い万能型」として位置づけられている。
開発ストーリー|“冬に強いオールシーズン”という明確な目的から生まれた設計
セルシアス(Celsius)は、「都市部で年に数回ある冬の不意打ちに対応しつつ、普段は夏タイヤのように走れるタイヤ」を目指して開発されたモデルだ。積雪が少ない地域ではスタッドレスの必要性が低く、かといって夏タイヤでは冷えた雨や薄い積雪で不安が残る──その中間領域をカバーすることがセルシアスの開発テーマとなった。
特徴的なのは、冬タイヤの技術を“必要な範囲だけ”取り入れた構造にある。低温下で硬化しにくいコンパウンド、細かいサイプで路面をつかむ構造、そして方向性パターンによる排水・排雪の両立。これらの要素により、軽雪や低温ウェットでの安定感を確保しつつ、日常の街乗りでは夏タイヤに近い扱いやすさを維持するバランスが成立している。
オールシーズンの中でも「冬性能寄り」に位置づけられるセルシアスは、AW21 や Gen-3 のような万能型とは異なる個性を持ち、急な冷え込みや薄い積雪に強い“冬の安心感”を重視した設計思想が明確なモデルとなっている。
公式データ|低温・軽雪・排水性に強い“冬寄りオールシーズン”の性能バランス
セルシアス(Celsius)は、低温路面でのグリップ確保と軽雪対応を軸に、街乗りで扱いやすいバランスを重視した性能構成となっている。以下はメーカー公表値・欧州ラベリング帯域・構造特性をもとにした総合的な性能イメージだ。
| 性能項目 | 評価 | 特徴 |
|---|---|---|
| ドライ性能 | ★★★★☆ | 街乗り域で安定。柔らかさはあるが破綻しにくい。 |
| ウェット性能 | ★★★☆〜★★★★ | 方向性パターンの排水力が強く、冷えた雨で効果を発揮。 |
| 静粛性 | ★★★☆ | 冬寄り構造のためノイズはやや多めだが、許容範囲に収まる。 |
| 乗り心地 | ★★★★ | しなやかで衝撃を吸収しやすく、街乗りで快適。 |
| 雪(軽雪) | ★★★★ | 3PMSF取得。薄い積雪・圧雪路での“噛みつき”が強い。 |
| 寿命 | ★★★☆〜★★★★ | コンパウンドの柔らかさを考えると十分長持ちする部類。 |
※性能チャートは欧州ラベリング値、メーカー公表データ、パターン構造の特性を基にした総合的な指標。実際のグリップ挙動やノイズ傾向は車重・サスペンション特性・路面温度によって変化する前提となる。
他社比較|AW21・Gen-3・CC3との“立ち位置の違い”が一目でわかる
セルシアス(Celsius)は「冬寄り万能型」という明確な個性を持つ。ここでは主要競合である ヨコハマ AW21、グッドイヤー Gen-3、ミシュラン クロスクライメート 3 と比較し、性能の差をわかりやすく整理する。
| 比較ポイント | セルシアス | AW21 | Gen-3 | CC3 |
|---|---|---|---|---|
| ドライ | ★★★☆ 柔らかく街乗り特化 |
★★★★ 静かで扱いやすい |
★★★★☆ 高速の安定性に強い |
★★★★★ 直進性が抜群 |
| ウェット | ★★★☆〜★★★★ 冷えた雨に強い |
★★★★ 国産バランス型 |
★★★★☆ 排水力が高い |
★★★★★ 欧州トップ級 |
| 静粛性 | ★★★ 冬寄り構造のため控えめ |
★★★★★ 低ノイズが強み |
★★★★ ノイズが整っている |
★★★★☆ 高速で静か |
| 雪(軽雪) | ★★★★ 3PMSFで強みあり |
★★★ 薄い雪なら十分 |
★★★☆ 欧州万能型レベル |
★★★★ 軽雪に強い |
| 寿命 | ★★★☆〜★★★★ 柔らかさを考えると良好 |
★★★★ 国産らしい安定感 |
★★★★☆ 欧州系の中でも長持ち |
★★★★ 全体的に高耐久 |
※比較表は各モデルの公開スペック、ラベリング、一般的なテスト傾向を基にした目安。性能差は速度域、荷重、路面コンディションによって変動するため、同一条件下での相対評価として参照するイメージとなる。
メリット・デメリット|“冬寄り万能型”としての強みと注意点
セルシアス(Celsius)は、冬性能を重視したオールシーズンとして明確な個性を持つ。都市部ユーザーにとって扱いやすい場面が多い一方で、他モデルと比較すると注意すべき点も存在する。ここでは、その特徴を客観的に整理する。
メリット
- 軽雪・低温路面に強い
3PMSF取得と冬寄りコンパウンドにより、“うっすら雪”や冷えた朝の路面で安定感が高い。 - 冷えた雨での排水性が高い
方向性パターンと深いVグルーブにより、低温ウェットで強みを発揮する。 - 乗り心地がしなやかで快適
柔らかいコンパウンドが衝撃を吸収しやすく、街乗りで扱いやすい。 - 価格に対して冬性能が高い
同価格帯では軽雪への対応力が安定しており、コスパに優れる。 - 突然の雪に1本で備えられる
都市部で年に数回ある降雪を想定した“現実的な冬対策”として使いやすい。
デメリット
- 静粛性は他の万能型に劣る
冬寄り構造のため、AW21 や Gen-3 と比べるとノイズが出やすい。 - 高速域の安定性は控えめ
柔らかい特性が出るため、長距離の高速巡航では上位モデルのほうが有利。 - ドライの“シャキッと感”は弱い
冬寄りコンパウンドの影響で、ハンドリングレスポンスは緩め。 - 深雪・氷上はスタッドレスに及ばない
軽雪向けのため中〜深雪や凍結路は非対応領域となる。
総合すると、セルシアスは「冬の安心感」と「普段の使いやすさ」を両立した、都市部に最適化された冬寄りオールシーズンといえる。極端な雪を求めるユーザーには向かないが、日常域での安心感は非常に高いモデルだ。
サイズ展開|軽自動車からSUVまで幅広く対応する豊富なラインナップ
セルシアス(Celsius)は、軽自動車・コンパクト・ミニバン・セダン・SUV まで幅広く装着できる豊富なサイズ展開を持つ。冬寄りオールシーズンとしては種類が多く、都市部ユーザーが選びやすいラインナップとなっている。
対応インチ
13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18 インチ
主なサイズ例
- 155/65R14(軽自動車)
- 165/55R15(軽スポーティ)
- 175/65R15(コンパクト)
- 185/60R15・195/65R15(コンパクト〜セダン)
- 205/55R16(Cセグメント)
- 215/50R17・225/45R17(セダン・ハッチバック)
- 225/55R18(SUV)
公式リンク
セルシアスは都市部ユーザーに必要な主要サイズがほぼ揃っており、「普段は夏タイヤ感覚、冬は安心感」という使い方に適したモデルとなっている。
まとめ|“冬の安心感”を求める都市部ユーザーに最適な冬寄りオールシーズン
セルシアス(Celsius)は、軽雪・低温路面での強さと、街乗りでの扱いやすさを両立した“冬寄り万能型”のオールシーズンタイヤだ。AW21 や Gen-3 のような万能型とは異なり、冬性能が明確に強化されている点が個性となる。
セルシアスが特に向いているユーザー
- 都市部で「年に数回の雪」に備えたい人
3PMSF と冬寄り構造により、薄い雪・冷えた路面での安定感が高い。 - 普段は街乗り中心で快適さもほしい人
柔らかいコンパウンドが衝撃を吸収しやすく、乗り心地が良い。 - 急な冷え込みや冬の雨に対して安心感がほしい人
方向性パターンの排水力が強く、低温ウェットに強みがある。 - スタッドレスは不要だが、夏タイヤでは不安が残る人
“夏タイヤ以上、スタッドレス未満”の現実的な冬対策として有用。
他モデルとの使い分け
- 静粛性重視 → AW21
- 総合バランス重視 → Gen-3
- 高速安定性・低温ウェット重視 → クロスクライメート 3
- 軽雪対応力重視 → セルシアス
日常の走りやすさを保ちながら、冬の安心感も得たいユーザーにとって、セルシアスは非常に現実的で信頼性の高い選択肢となる。
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- ヨコハマ ブルーアース 4S AW21|国産万能型の基準
静粛性と街乗り性能が強みの万能型。セルシアスとの性格の違いが分かりやすい。 - グッドイヤー ベクターフォーシーズンズ Gen-3|欧州万能型の中心
雨・高速・静粛性を高いレベルでまとめた万能型。冬寄りのセルシアスとは対照的。 - ミシュラン クロスクライメート 3|高速安定性と低温ウェットに特化したモデル
欧州基準の“全天候型”。冬寄りのセルシアスと比較すると強みが明確に分かれる。 - トーヨー セルシアス 実走レビュー
街乗りでの静粛性、冬の安心感、長期使用での摩耗傾向を詳しく解説したレビュー記事。 - 雪が少ない地域向けオールシーズンタイヤ特集
関東・東海・関西など“薄い雪”の地域でセルシアスがどこまで活きるかが理解できる。


